
低血圧
英語
Low blood pressure
Hypotension
血圧が低い、めまい、立ちくらみ、朝起きれない
もくじ
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低血圧とは
低血圧とは、収縮期血圧(上の血圧)が100(mmHg)以下で、拡張期血圧(下の血圧)60(mmHg)以下のことをいいます。
低血圧症は上の血圧が100(mmHg)以下で、立ちくらみ、めまい、疲労感などの訴えがある状態をいいます。
低血圧は一般に、寝ながら、もしくは座りながら測定した血圧が低い場合を指します。
年齢に応じて40歳以上は上が110mmHg、65歳以上は上が115mmHg、女性の場合には上が90mmHgを採用することもあります。
また、上の血圧が70を下回ると危険な状態に近づき、心肺機能や脳機能に異常が生じ始めます。
上の血圧が60以下に低下すると呼吸困難になり、 意識がなくなり、危篤状態になります。

脈圧とは
血圧の上下の差のことを「脈圧」といいます。
適正な脈圧の差は40~50mmHgです。
低血圧の症状
低血圧の主な症状は、めまい、立ちくらみ、身体がだるい、疲れやすい、吐き気、食欲不振、朝起きれないなどの症状があります。
めまい、ふらつき
倦怠感、疲労感
頭痛
肩こり
胸痛、胸部圧迫感
動悸
息切れ、呼吸困難感
食欲不振
吐き気、嘔吐
下痢
便秘
多汗
冷え症
不眠、うつ症状
朝の気分不良、朝起きれない
など
慢性的な低血圧は高血圧に比較して生命予後がよい(命に関わることが少ない)といわれていますが、
見た目は健康でも、学校や仕事に行けなかったり、気分が優れなかったりして、社会的な困難を生じ、精神的な負担が増す傾向があります。

低血圧の原因
低血圧の原因は大きく分けると
①原因が不明の一次性低血圧(本態性低血圧)と
②なんらかの疾患によるものの二次性(症候性)低血圧と、
③乱れた生活習慣やストレスなどによる状況性低血圧に分けられます。
低血圧は、やせ型、胃下垂、胃アトニー、貧血などのある女性に起こりやすいと言われています。
中年以後は心臓や腎臓などの機能が低下した男性にも多くなります。
また、昼夜逆転の生活や深夜までのスマホ、SNSでのイジメ、家庭環境等のストレスなど、心理的な側面が大きいこともあります。
①一次性低血圧(本態性低血圧)
原因不明②二次性(症候性)低血圧
循環器疾患:不整脈、心筋梗塞、心筋症、心不全、大動脈弁狭窄症など循環血液量減少:脱水症、熱中症、貧血、血液透析後など
内分泌疾患:甲状腺機能低下症(橋本病)、下垂体前葉機能低下症、アジソン病など
代謝疾患:悪性腫瘍、栄養失調、神経性食欲不振症など
薬剤性:降圧薬、利尿薬、抗精神病薬、抗うつ薬、鎮痛薬など
感染症:エンドトキシンショック
③状況性低血圧
起立性低血圧:特発性、薬剤性など反射性失神(低血圧):疼痛、興奮、不安、運動など
食事性

急性低血圧と慢性低血圧
急性低血圧は、重症感染症によるショックなど生命に危険が及ぶ可能性の高い低血圧です。
慢性低血圧は、特定の状況下に低血圧を起こす傾向がある低血圧です。
起立性低血圧、食事性低血圧、排尿時低血圧、運動時低血圧などがあげられます。
血圧を調節する自律神経反射の障害によって起こると考えられています。

低血圧で病院に行く目安
低血圧の定義が上の血圧が100(mmHg)なので、それ以下であれば、他の疾患が隠れているかもしれないので検査することも検討します。
通常より30(mmHg)低い場合は病院の受診をおすすめします。
例えば、いつも上の血圧が130(mmHg)の人の上の血圧が100(mmHg)だった場合などです。
この場合は、100以上だったとしても受診して検査することが大切です。
病院での薬物治療の例
交感神経に作用
エチレフリン(エホチール®)ミドドリン(メトリジン®)
アメジニウムメチル(リズミック®)
鉱質コルチコイドで Na貯留による循環血漿量増加作用
フルドロコルチゾン (フロリネフ®)
病院での薬物治療の主な副作用の例
エチレフリン(エホチール®)の副作用
心悸亢進、徐脈、胸内苦悶、呼吸困難、頭痛、血圧異常上昇、不眠、振戦、発疹、などミドドリン(メトリジン®)の副作用
頭痛、動悸、吐き気、ほてり感、発汗、腹痛、めまい、立ちくらみ、頭痛、頭重、気分不良、などアメジニウムメチル(リズミック®)の副作用
動悸、頻脈、血圧変動、不整脈、ほてり感、のぼせ、腹痛、排尿障害、肝機能異常、四肢冷感、などフルドロコルチゾン (フロリネフ®)の副作用
血圧異常上昇、吐き気、高ナトリウム血症、悪心、満月様顔貌、浮腫、低カリウム血症、過敏症、月経異常、など
低血圧治療の目的
低血圧の治療の目的は、血圧の数値を上げることよりも、患者のQOL(生活の質)を高めることがたいせつとされています。

低血圧の対策
適度な運動や栄養の改善により、体力をつけることが予防のためにも、治療のためにも必要だと考えられています。
低血圧の具体的な対策
塩分摂取ミネラル摂取
水分の摂取
バランスのとれた栄養の摂取
規則正しい生活
早寝早起き
十分な睡眠時間
適度な運動習慣
コーヒー適量には、血流をよくする作用があり、カフェインが含まれるので、朝が苦手な低血圧の方も身体を動かしやすくすることができます。
チョコもカカオにカフェインが含まれるため、一時的に血圧を上げる効果が期待できます。
低血圧の人は朝が苦手で朝食を抜いてしまいがちですが、自律神経を安定させるためには朝食をしっかり摂って生活リズムを保つことが重要です。
また、朝食のたんぱく質は、血液を作るのに必要な栄養素で、不足するとさらに低血圧になってしまう傾向があります。

低血圧で使用する経絡・経穴(ツボ)の例
百会
天柱
肩井
厥陰兪
腎兪
壇中
中脘
肓兪
大巨
郄門
など
※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。

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参考文献
本当は怖い「低血圧」 あなたの「うつ」、実は「低血圧」かも?
永田勝太郎 (著)
秀和システム
2016/7/5発売
名医のわかりやすい高血圧・低血圧 (同文名医シリーズ)
梶原 長雄 (著)
同文書院
1994/1/1発売
関連外部リンク
Low blood pressure (hypotension)
Mayo Clinic
Low Blood Pressure
nhlbi, nih (.gov)
Low Blood Pressure
Cleveland Clinic