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肓兪(こうゆ) |
肓兪 — 「いのちの底とつながる静寂の窓」
へその横に、あなたの“本当の居場所”がある。
それは誰にも見えず、でも確かにあなたを支えている。
肓兪は、“消えかけた灯”をもう一度ともす場所である。
英語
Kidney(KI)16
Huangshu(Huang Shu)
肓兪(こうゆ)
足の少陰腎経16
The Kidney Meridian of Foot-Shaoyin
肓兪
こうゆ
koyu
取穴部位
臍中央の外方5分、腹直筋の外縁に位置する。左右対称に取穴し、特に臍の緊張や冷えの感覚と連動して反応点が現れやすい。
軽く仰臥して腹部を弛緩させ、呼気時に皮膚が最も自然に沈む場所に圧痛や虚実を確認すると精度が上がる。
筋肉
腹直筋
運動神経
肋間神経
知覚神経
肋間神経前皮枝
血管
浅腹壁動脈、下腹壁動脈

主治(臨床応用)
・腸鳴、腹部膨満感、食欲不振、便秘、下痢の交互出現
・へそ周囲の冷えや違和感、過敏性腸症候群の補助治療点
・腎虚や脾虚に由来する疲労感、無気力、思考の停滞
・女性の月経不調(特に血が薄く、寒がりで元気がないタイプ)
・「気が抜ける感じ」「魂が抜けたような虚脱感」がある時に特効あり
▶ **“へその横に、魂の関所がある”——それが肓兪である。**
名前の由来(オリジナル解釈)
「肓(こう)」とは、『内経』では「五臓六腑の間にある不可触の領域」とされ、気血が昇降・出入する「生命の中心点」でもある。
「兪(ゆ)」は「通じる、解放する」という意味を持つ。
よって「肓兪」とは、**“命の奥深く(肓)に通じる開放口(兪)”**を意味し、
単なる腹部の一点ではなく、**精神と肉体が再び連携し直す場所**としての重要性を持つ。
▶ **「命の中枢、感情のハブ」——それが肓兪。**
象徴的意義・精神的作用
・へそ横という位置は、「生命の起点=臍帯」との繋がりを象徴する
・「気が抜けた」「根がない」と感じるとき、肓兪が弱っている可能性がある
・触れるだけで「内側から光がともるような感覚」や「自我の中心に戻る感覚」が得られることも
・精神的には「決断力」や「集中力」とも関係が深く、気が散漫な人や現実感を失いやすい人にも有効
▶ **肓兪は、漂う魂を“中心”に呼び戻す、静かな錨。**
詩的・感覚的イメージ
・「心の中のへそ」
・「魂の再接続ポート」
・「重力が失われた心に、そっと重さを戻してくれる」
・「見失った“真ん中”が、ここにある」
▶ **肓兪に手を当てる。それは、魂の帰還を迎え入れる儀式である。**
臨床応用のヒント
・他の腹部経穴(関元・中注・気穴など)と組み合わせると「中下焦調整ライン」ができる
・過去にショック体験や手術で“命の中心”に不安がある患者において、反応点となることが多い
・瘀血タイプよりも、**気虚や腎陽虚傾向に特に効果的**
セルフケア・養生のすすめ
・夜の温灸やホットパックで肓兪を温めると、内臓の安心感と安眠効果が高まる
・両手でやさしく触れ、「私はここにいる」と静かに感じるだけでも、心の不安が減ることがある
▶ **肓兪は、“生まれ直すための、内なる玄関”。**
→商曲(しょうきょく)
←中注(ちゅうちゅう)
→手の厥陰心包経
←足の太陽膀胱経
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