うつ病

英語
Depression
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うつ病とは
うつ病とは、持続的な抑うつ気分や喜びの喪失を主な症状とし、日常生活に支障をきたす心の病とされています。 その背景には、ストレス、性格傾向、脳内の神経伝達物質の変化などが影響していると考えられています。

うつ病の症状
- 一日中気分が沈み、ほとんど毎日2週間以上続く
- 物事に興味が持てず、喜びも感じない
- 食欲不振や体重減少(身体的原因がない場合)
- 慢性的な不眠や仮眠
- 外出を避け、引きこもる傾向
- 疲労感、無気力、倦怠感
- 強い自己否定、無価値観
- 集中力の低下や思考の鈍化
- 死についての思考や自殺願望

中医学の視点からみたうつ病
中医学では「うつ」は単なる心の問題ではなく、「肝・心・脾」など臓腑の失調と気血の停滞によって起こると捉えます。
- 肝気鬱結:ストレスにより肝の疏泄作用が失調し、情緒の抑うつや怒りっぽさが現れる。
- 心脾両虚:思い悩みすぎにより心と脾が共に虚し、無気力・不眠・健忘がみられる。
- 痰気鬱結:気の巡りが悪く痰が心神を閉塞し、意欲低下・不快感・胸の詰まりが起こる。
- 肝腎陰虚:慢性的な疲労からくる虚状態で、焦燥感や不安、不眠が目立つ。
現代医学との比較
現代医学では主に薬物療法(抗うつ薬)と認知行動療法などの精神療法が中心です。 一方、中医学では個人の体質や原因を見極め、鍼灸や薬膳、気血の調整によって根本改善を目指します。 即効性を求めるよりも「自然な流れを回復する」ことに重点が置かれています。
鍼灸によるアプローチ
整身・整息による回復の道
整身(姿勢の整え)
うつ状態では自然と姿勢が内向きになります。まず背骨を立て、下腹(丹田)を意識し、静かに地に足をつけて坐ることが大切です。
整息(呼吸の整え)
呼吸が浅く早くなる傾向があるため、吸気よりも呼気をやや長めにした腹式呼吸(吸4秒・吐6秒)を意識します。 毎日5分、静かな場所で呼吸に集中するだけでも、神経の興奮が落ち着き、心がゆるみます。
体に優しい考察
整体で身体をゆるめ、鍼灸で自律神経を調和させることで、自然治癒力が働き始めます。薬に頼らず、まずは「自分を感じる時間」を持つこと。 それが本当の回復への第一歩となるのです。

うつ病の鍼灸、整体、マッサージ
臨床で使用する経絡・経穴(ツボ)の例:
内関(ないかん)、上脘(じょうかん)、膻中(だんちゅう)、 鳩尾(きゅうび)、巨闕(こけつ)など。
※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。
参考文献
うつ病治療ガイドライン 日本うつ病学会監修
医学書院 東京 2017
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関連外部リンク
うつ病ABC
Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.
Depression
NIMH
What Is Depression?
American Psychiatric Association.