
子どもの心療内科疾患の特徴
英語
Characteristics of children's psychosomatic diseases
腹痛や頭痛がするのに病院で検査しても異常がない。子どもの心療内科疾患の特徴とおすすめの鍼灸のツボまで詳しく解説。
もくじ
執筆者

学校に行けない
子どもはさまざまな身体的な症状を訴えやすく、「学校に行けない」という訴えで心身症外来や児童精神科、思春期外来などを訪れるご家族が増えています。
不登校と身体症状の関連は、学校生活における心理的ストレスが症状発症の引き金になる場合と、身体症状の持続に伴う二次的な不安から登校できなくなる場合があるといわれています。
子どもは心身ともに未発達で、日々成長しています。
心身医学においても、子どもと成人では心身症の病態に異なる点が多いとされています。

心身症として現れやすい
子供の「お腹が痛い」という訴えには、さまざまな意味が込められている可能性があります。
内科的、器質的な問題だけではなく、家庭や学校でのストレス、許容範囲を超えた緊張などの心理的な側面が身体症状として現れ、これを精神医学では「心身症」と呼んでいます。
「心身症」には、お腹が痛い、頭痛がする、微熱がある、身体がだるいなど、さまざまな症状が含まれます。
特に子供は自分の状況や状態を細かく言語化して表現しにくいため、ささいな心理社会的な因子が「腹痛」や「頭痛」といったひとつの身体症状に集約されている場合があります。
そのため症状の意味があいまいでわかりにくい傾向があります。
子供が学校を休み始める時にも、登校に対する心理的な不安をうったえるよりも、頭痛や発熱、腹痛、倦怠感などの身体的な症状をうったえることが多く、実際に心身症として現れている場合がほとんどです。
症状は固定せず、その日によって強弱があったり、移行したり、くり返したりすることが多いこともあります。
これを仮病だと判断してしまうと、症状はさらに強固なものに変化することもあります。

子供の心療内科的なサイン症状
お腹が痛い
頭痛
食欲がない
眠れない
会話が減る
疲れやすい
やる気がでない
不登校
成績不振
イライラしてすぐキレる
など

ストレスに弱い
大人の心身症は、溜め込んだストレスが身体化するというメカニズムが知られています。
子供の場合は、経験不足や言語化能力の未発達、ストレス対処能力の未開発により、受けたストレスをそのまま身体化しやすいと考えられています。
神経発達症の子供と心身症の関連
自閉スペクトラム症、注意如多動症(ADHD)などの神経発達症(発達障害)の特性をもつ子どもの特徴。
自己コントロール力の弱さ:
低ストレス耐性
適応能力の低さ:
集団生活における低ストレス耐性
自律補経機能の不安定性
身体症状の容易出現
これらの理由により、心身症を呈しやすい特徴があります。
子どもは成長、発達の過程にあるため、成人よりも神経発達症(発達障害)をもつ割合が高くなる傾向があります。
不安に影響しやすい
子どもは成人に比べて経験が不足していることが多く、身体的不調に対する経験も大人に比べると少ないといえます。
未経験の症状により「自分はどうなってしまうの」という不安が生じます。
その不安の対処により症状は増減する傾向があります。
「とらわれ」
ストレスから生じた症状をうまく対処できずに引きずってしまう場合、症状自体がストレス化してしまうことがあります。
この状態を「とらわれ」よびます。
慢性に経過する症状では「とらわれ」の影響が大きく、とらわれた症状により、心理社会的なストレス要因が隠されたまま、
症状の持続による不安やストレスから心身症としてとらわれの症状を起こしてしまうことになります。
これにより、症状イコール病気であり、この症状により学校に行けなくなっているのだと、周りの大人達も考えてしまうようになります。
この症状によって学校を休みがちになれば、学校に行けないこと自体に不安(二次的不安)を生じさせ、さらに不登校を助長する場合もあります。
いつのまにか学校に行けないことが症状の責任にすりかわり、症状を消すのが大切だという周りの大人も含めた「とらわれ」により、
成長発展段階のピュアな子供達に、隠された心理社会的なストレス要因はそのままで、精神病患者の飲む薬物治療を延々と行っているとすれば、
子供の自殺者数が増えている原因はどこにあるのでしょうか。

子どもの心療内科疾患で使用する経絡・経穴(ツボ)の例
鍼灸や指圧治療として
身柱
百会
肺兪
腎兪
中脘
膻中
足三里
など
※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。

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参考文献
子どものこころと脳 発達のつまずきを支援する
青木 省三 (編集), 福田正人 (編集)
日本評論社
2022/3/8発売
かかりつけ医に必要な心療内科の知識
日本臨床内科医会 (著)
日本臨床内科医会
2022/3/24発売
関連外部リンク
Psychosomatic disorders in pediatrics
National Institutes of Health (NIH) (.gov)
Building resilience in children and adolescents with psychosomatic symptoms
National Neuroscience Institute
Pediatric Somatic Symptom Disorder
Cleveland Clinic