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経絡・経穴(ツボ)

足三里(あしさんり)

「立つ・歩く・生きる力」の起点

胃腸症状だけでなく、「前に進む意欲」「食べて生きる本能」に火を灯すツボ

単なる“健康のための万能ツボ”ではなく、人生の軌道修正点とも言える重要な場所

英語
Stomach(ST)36
Zusanli(Leg Three Li)

足三里(あしさんり)(合土穴)<四総穴の一つ>

足の陽明胃経36
The Stomach Meridian of Foot Yangming

足三里
あしさんり
ashisanri

取穴部位
外膝眼穴(膝の外側のくぼみ)から下へ3寸(約指幅4本分)下がったところ。
脛骨の外側縁をたどると圧痛やわずかなくぼみがある位置。

筋肉
前脛骨筋(歩行時に足首を持ち上げる筋)

運動神経
深腓骨神経(L4〜S1)

知覚神経
外側腓腹皮神経、伏在神経の枝

血管
前脛骨動脈

足の陽明胃経

主治
・胃痛、嘔吐、食欲不振、下痢、便秘など消化器疾患全般
・倦怠感、虚弱体質、免疫力低下、慢性疲労症候群
・下肢の筋力低下、足のしびれ、膝の痛み、足の冷え
・ストレス起因の胃腸症状、過敏性腸症候群(IBS)

経穴の性質と独自の視点
・「合土穴」「胃の募穴に通じるツボ」であり、胃経の要穴。
・四総穴の一つとして「腹を治すツボ」と言われる。
・“食べる”こと=“生きる”こと。その生命力の根本を支える存在。
・単なる胃腸調整のツボではなく、「地に足をつける」「人として立つ」ための要石。

名前の由来(独自解釈)
「足三里」の「三里」は、“一里進めば三里楽になる”という古語的な意味合いから名づけられたとも言われる。
しかし、ここではより象徴的に、
「足=行動」「三=天・地・人」「里=道・距離・つながり」と捉え、
つまり「天地人が調和した行動の場」「本来の道を歩むための出発点」と読み解くこともできる。

中医学的意義
・足の陽明胃経の要穴であり、「気血の海」と呼ばれる。
・胃経は「五臓六腑の気を養う源」であり、足三里はその中枢。
・気虚・脾胃虚弱・寒湿停滞・食積に広く応用される。

精神・スピリチュアル的視点(独自解釈)
・「お腹の不調」は「感情の未消化」から来ることがある。
・足三里は、“考えすぎ”“人を気にしすぎ”“ため込みすぎ”による
 エネルギーの停滞を動かす「思考→行動の切替スイッチ」。
・悩んで動けないとき、虚無感が続くときに、このツボは
 「とにかく一歩、踏み出してみよう」という気づきを与えてくれる。

臨床応用メモ
・慢性胃炎や冷え性には温灸でじんわり深部まで熱を入れる
・自律神経失調タイプの下痢・便秘には、心包経や肝経との組み合わせが有効(例:内関、太衝)
・長引く疲労や感染症明けの「気血両虚」には、膈兪・脾兪・中脘と併用

家庭でのセルフケア
・親指で5秒押して5秒離す「呼吸に合わせた指圧」がおすすめ
・冷えや胃もたれがある時は、ドライヤー温灸やカイロで軽く温めるのも効果的
・「よく噛んで食べる」意識と一緒にツボを意識すると相乗効果がある

注意点
・過度な刺激で筋肉痛が出ることがあるため、毎日行う場合は優しい圧で
・妊婦には使用に慎重を要する(体調や段階による)

→上巨虚(じょうこきょ)

←犢鼻(とくび)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

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