胃潰瘍・十二指腸潰瘍

英語
Peptic ulcer
Gastric ulcer
Duo-denal ulcer
ストレス、胃痛、吐き気など、胃潰瘍・十二指腸潰瘍に効くツボまで詳しく解説

・胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

・潰瘍とは

・胃潰瘍・十二指腸潰瘍で使用する経絡・経穴(ツボ)の例

執筆者

井出貴之（鍼灸師）プロフィール

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは胃や十二指腸の粘膜の一部が遺瘍もしくは壊死をおこす疾患をいいます。

潰瘍とは

組織の壊死の結果生じる、皮下組織、粘膜の下の組織まで達する欠損をいいます。

欠損が浅いときは、びらんといいます。

消化性潰瘍とは

胃潰瘍と十二指腸潰瘍のことを消化性濃瘍とよびます。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は胃酸とペプシンの強力な消化作用によって自己の組織を損傷する疾患です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状

上腹部痛（食後30分～1時間）

食物摂取、アルカリ剤服用、嘔吐などで腹痛が軽快する。

胸やけ、出血、吐血など

胃潰瘍圧痛点とは

胃潰瘍圧痛点とは、胃潰瘍の際に身体のある部分を押すと痛みがある場所のことです。

おもな胃潰瘍圧痛点は次の3点です。

①ボアス圧痛点：
第9～12胸椎の高さで棘突起の左側。

②メンデル圧痛点：
胸骨剣状突起と臍を結ぶ線上の中央。

③小野寺殿部圧痛点：
臀部の腸骨陵に沿って、3〜4cm 下方。

急性の強いストレスは急性胃潰瘍の原因です。

過労、睡眠不足、緊張、不安、などからくる肉体的・精神的ストレスが胃潰瘍の原因となることは多いといわれています。

心理的なストレスにより胃酸、ペプシンなどを主体とする攻撃因子と、粘液、血液などを主体とする防御因子のバランスが乱れることにより生ずるという説があります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の要因は胃液消化説、胃炎、局処循環障害説などがあります。

局所循環だけでなく自律神経や中枢神経などが関与するともいわれています。

胃潰瘍の原因の7割以上がピロリ菌とされていますが、ピロリ菌が繁殖する原因はストレスなどの自律神経の乱れから起こる説があります。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は悪性か良性か？

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は良性疾患とされています。

しかし、出血、穿孔、狭窄により重篤な状態になることもあります。

出血による貧血

穿孔（胃や十二指腸に穴が開く）

狭窄（潰瘍により狭くなる部分ができる）

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療期間

胃潰瘍は約3ヶ月、十二指腸潰瘍は約2月半程度で、8割以上の方の症状の改善が期待できます。

潰瘍が重篤で止血困難な場合や穴が空いている場合は病院での手術が検討されます。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の再発

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の特徴として、一度治癒した濃瘍が高確率で再発を繰り返します。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍とピロリ菌

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は Helicobacter pylori H.pylori）感染が関与します。

除菌により濃瘍の再発がほぼ抑制されることから、本疾患は細菌感染症と深い関わりがあると考えられています。

急性潰瘍と慢性潰瘍

胃・十二指腸潰瘍は急性潰瘍と慢性潰瘍に区別されます。

一般的には慢性潰瘍が多く、難治性で、ピロリ感染が関与し、潰瘍の再発・再燃を繰り返す。

急性胃・十二指腸潰瘍は、痛み止めなどの薬剤（非ステロイド性抗炎症薬）が原因であることが知られています。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断

胃カメラ（内視鏡）

バリウムを飲んで胃の内部を撮影(胃透視)

血液検査

ピロリ菌感染の有無

など

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の対策

安静を保ってできるだけストレスなく過ごす

胃腸に負担がかからない食事(おかゆ、ばなな、スポーツドリンクなど)

暴飲暴食を避ける

香辛料を避ける

熱すぎる・冷たすぎる食べ物を避ける

カフェイン摂取を避ける

喫煙を避ける

自分のキッチリした性格を把握してできるだけスローライフを目指す

かぼちゃ、人参、ほうれん草、小松菜、春菊、モロヘイヤなどのβカロテンを含む食材は胃腸の炎症や潰瘍を修復してくれる効果が期待できます。

キャベツ、レタス、アスパラガス、パセリなどのビタミンUを含む食材は胃酸の分泌を抑えて胃粘膜の保護が期待できます。