機能性ディスペプシア
英語
Functional Dyspepsia・FD
もくじ
執筆者
機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアとは慢性的胃もたれ、悪心、嘔吐などの上腹部の症状があるのに、器質的な疾患がみられない疾患です。
機能性ディスペプシアは昔から胃アトニー、慢性胃炎、神経性胃炎などと呼ばれてきました。
ディスペプシアは「消化不良」という意味で訳されます。
機能性ディスペプシアの統計
ディスペプシアの有病率は約10%から15%といわれている比較的多い疾患です。
機能性ディスペプシアの病因
胃排出遅延
胃収縮異常
胃拡張時の知覚過敏
十二指腸の知覚異常
脳腸相関
精神心理学的異常
先行感染症
ストレスなど心理社会的要因
心理的偏り
不安
抑うつ
など
機能性ディスペプシアの検査
消化性潰瘍のような器質的、代謝的の疾患がない。
検査で異常を認めない。
機能性ティスペプシア(FD)の診断基準(RomeIII)
①以下の症状の一つかそれ以上が存在し
a.辛いと感じる食後のもたれ感
b.早期飽腹感
c.心窩部痛
d.心窩部灼熱感
かつ
②その症状を説明しうる器質的疾患を認めない
上記症状要件は診断時期の少なくとも6カ月前にはじまり、3カ月間持続していること
ディスペプシアの二つの症候群
① 食後愁訴症候群
食事により誘発される腹部の不快症状、膨満感、飽満感を症状の中心と した食後愁訴症候群。
② 心窩部痛症候群
みぞおちや心窩部の痛み、灼熱感を症状の中心とした心窩部痛症候群。
ディスペプシアの鑑別疾患
消化性潰瘍
上部消化管悪性腫瘍
胃炎
など
ディスペプシアの病院でのケア
内視鏡検査等でで異常が認められないため、「異常ありません」と言われて終わることが多い。
異常を感じて来院しているにも関わらず、「異常なし」といわれても腑に落ちない。
情緒面のサポートが大切です。
一般的な病院での処方薬
①酸分泌抑制薬
ヒスタミンH2受容体拮抗薬
プロトンポンプ阻害薬
②消化管運動改善薬
メトクラミド
ドンペリドン
モサプリド
③心療内科的処方
漢方薬
抗不安薬
抗うつ薬
機能性ティスペプシア(FD)の予後
予後は良好です。
慢性的な経過をたどることが多いです。
約1/3が自然寛解します。
機能性ティスペプシアの鍼灸、整体、マッサージ
臨床で使用する経絡・経穴(ツボ)の例:
足三里(あしさんり)、梁丘(りょうきゅう)、手三里(てさんり)、胆兪(たんゆ)、脾兪(ひゆ)、胃兪(いゆ)など。
※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。
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参考文献
機能性消化管疾患診療ガイドライン2021-機能性ディスペプシア(FD)
日本消化器病学会 (編集)
南江堂
2021/4/23 発売
関連外部リンク
Functional Dyspepsia
Cleveland Clinic
Functional Dyspepsia
National Institutes of Health (.gov)
Functional dyspepsia
Mayo Clinic