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経絡・経穴(ツボ)

梁丘(りょうきゅう)

“胃の丘”で気持ちを受け止め、整える場所

心と食欲のバランスが崩れたときの“内なる橋”

急な変調に素早く対応する郄穴の中の要(かなめ)

胃だけでなく「言葉や感情の消化不良」にも効く、現代人必携のツボ

英語
Stomach(ST)34
Liangqiu(Beam Hill)

梁丘(りょうきゅう)(郄穴)

足の陽明胃経34
The Stomach Meridian of Foot Yangming

梁丘
りょうきゅう
ryokyu

取穴部位
大腿部の前外側で、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かって上2寸。
外側広筋の筋腹に位置し、押圧でやや鈍い痛みを感じやすい部位。

筋肉
外側広筋

運動神経
大腿神経

知覚神経
外側大腿皮神経、大腿神経前皮枝

血管
外側大腿回旋動脈、外側上膝動脈

足の陽明胃経

主治
・胃痛、急性胃炎、食あたり、嘔吐、悪心、胃けいれん
・膝の外側の痛み、大腿前面の張りやしびれ
・脛骨神経痛、下肢運動障害の補助療法
・過緊張による下肢のこむら返りや筋痙攣

経穴の性質
郄穴(げきけつ)
急性の症状や、鋭い痛みに効果的な反応点。特に胃経においては、
胃気の急な異常(上逆・停滞)に素早く対応する「緊急ブレーキポイント」として機能。

名前の由来(オリジナル解釈)
「梁」は橋や高台を意味し、「丘」は小高い場所。
つまり「梁丘」とは、**気血が通過する架け橋の丘**のような場所。

物理的には太腿の外側に浮き出るように存在する筋肉の隆起を示し、
象徴的には「未消化の思い」や「抑えきれない欲動」を
高台で受け止め、再び流し直す“緩衝地帯”としての役割を持つ。

中医学的解釈
・胃経の中で、気の流れが急変しやすいポイント(気が漏れやすい丘)
・過食・ストレス・怒りなどによって、胃気が乱れた際の調整役
・「上逆」(気が上がりすぎて頭がぼーっとする)、「停滞」(みぞおちの詰まり)に用いる

心理・スピリチュアル的視点(独自解釈)
梁丘は、「感情をうまく飲み込めない時」に反応するツボ
・思ったことをそのまま言って後悔した人
・言いたいことを飲み込みすぎて、心身がつかえている人
・「もう無理!」と爆発寸前の人

そんな人の“大腿”に位置する梁丘は、
「踏ん張る力の消耗を一度リセットし、整理し直す空間」。
丘の上から俯瞰するように、自分の内側を見直すことができる。

臨床応用メモ
・「胃が張って食べられない、でも何か食べたい」ようなアンバランス状態に即効性あり
・生理前の過食傾向、情緒不安による食欲異常の調整点としても優秀
・「梁丘+内関+中脘」で胃の過剰反応・ストレス性胃炎に

セルフケア・家庭での活用法
・食べ過ぎた後、両手の親指で左右の梁丘をじんわりと押圧する
・空腹時ではなく、胃に違和感が出たときがベストタイミング
・「気が上がって落ち着かない」と感じたら、深呼吸とともに軽く指圧してみる

注意点
・骨に近いため、強い指圧は内出血や筋痛を招くことがある。穏やかに行うこと。
・冷え体質で筋肉が硬い人は、蒸しタオルや温灸を併用すると効果が高まる。

→犢鼻(とくび)

←陰市(いんし)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

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