リーキーガット症候群
英語
Leaky Gut Syndrome
もくじ
執筆者
リーキーガット症候群とは
リーキーガット症候群とは、何らかの理由で腸のバリアがくずれて、本来体内には取り込まない有害物質も取り込んでしまうことで、様々な体調不良をおこす病気です。
病院でもあまり知られていない病気なので、うつ病、起立性調節障害、更年期障害などと誤診されてしまっているケースがあります。
リーキーガット症候群は腸管漏出症候群(ちょうかんろうしゅつしょうこうぐん)ともよばれます。
英語では Leaky Gut Syndrome と書きます。Leakyは漏れる、Gutは腸、Syndrome(シンドローム)は症候群です。直訳すると、「腸もれ症候群」となります。
リーキーガット症候群で漏れ出す有害物質
リーキーガット症候群で漏れ出す有害物質には、未消化のたんぱく質、カビ菌、病原菌などの「異物」が体内に長期的に侵入することで、慢性的な炎症がおき、体調不良になります。
リーキーガット症候群の症状
リーキーガット症候群の症状には、胃腸の症状とアレルギー症状がありアナフィラキシーショックには注意が必要です。その他、慢性的な炎症が引き起こす病気も考えられます。
胃腸の症状には腹痛、胸やけ、消化不良、膨満感、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎などの症状がみられます。
頭痛、発熱、腹痛、疲労、不眠、感情の浮き沈み、肌荒れ、肥満などの原因不明の体調不良などです。
うつ病、自閉症、統合失調症、更年期障害、起立性調節障害、子宮筋腫、口臭の悪化、体臭の悪化なども報告されています。
リーキーガット症候群は遅延型アレルギーとの関連が深いことが指摘されています。食べ物の一部などが異物とみなされて、食物アレルギーを引き起こすことが疑われています。
リーキーガット症候群と慢性疾患
リーキーガット症候群による慢性的な炎症は、
癌、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病、高血圧症、認知症、発達障害、喘息、アトピー、副腎疲労、脂肪肝、肝炎、慢性疲労症候群など
様々な病気と関係していることが考えられています。
リーキーガット症候群の原因
リーキーガット症候群の原因は
医薬品、グルテン、アルコール、カフェイン、食物アレルギー、感染症、精神的なストレスなどにより腸内フローラが異常をおこすことだと言われています。
これはディスバイオーシスと呼ばれます。
定期的に処方されている薬が、実はリーキーガットによる体調不良を引き起こし、その症状をおさえるための薬がどんどん増えてくるような、医療が原因を作り出している病気「医原病」の可能性もあります。
痛み止め(NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬))、抗生物質、ステロイドや帝王切開もディスバイオーシスを引き起こします。
ディスバイオーシスにより小腸内細菌異常増殖症(small intestinal bacterial overgrowth)、カンジダ、ジアルジアなどの感染症を引き起こすことでリーキーガット症候群はおこります。
高脂肪食、果糖ブドウ、糖液糖、乳化剤などの添加物を含む食品(アイスクリーム、チョコレート、ソフトドリンクなど)のとり過ぎにも注意が必要です。
リーキーガット症候群の検査
病院でのリーキーガット症候群の検査は腸管バリアパネルを調べます。
カンジダ、ゾヌリン、オクルディンの抗体を測定します。
加えて、遅延型食物アレルギー検査や、尿検査(ラクチュロース・マンニトールの比)がおこなわれます。
リーキーガット症候群の予防
先ずは現在使用している薬についてしっかりと知識をもって副作用に対処していくことが大切です。
それができて、初めて、グルテンの摂取などの食生活の改善や、ストレスフルな生活習慣を見直すことが効果を奏します。
食生活ではグルテン(小麦など)、カゼイン(牛乳やチーズなど)、加工食品(加工肉など)、添加物、酒類などの過剰摂取に注意します。
腸のバリア機能をこわす生活習慣を改善していきます。
善玉菌を増やす(乳酸菌や食物繊維など腸の機能を高める成分を摂取)。
生活習慣の改善 (適度な運動と睡眠)。
アルコール、カフェイン、炭酸飲料などに注意する。
合成保存料、防腐剤、着色料、香料などの合成化学添加物に注意する。
きれいな空気が吸える環境を保つ。
家庭、職場、学校などのストレス環境を見直す。
リーキーガット症候群に効果があるとされる食品
リーキーガット症候群に効果があるといわれている食品には
オメガ3脂肪酸(亜麻仁油、エゴマ油など)、
ビタミンD(魚類、乾燥しいたけ、卵、肉類など)、
ビタミンA(ニンジン 、レバー、卵黄 など)、
ケルセチン(タマネギ、リンゴ、ブロッコリー、モロヘイヤなど)、
アガリクス、乳酸菌、ビフィズス菌などがあります。
発酵食品(味噌、納豆、キムチ、ぬか漬けなど)は腸の善玉菌を増やします。
オリゴ糖(バナナ、ごぼう、玉ねぎ、蜂蜜など)は腸の善玉菌の餌になります。
水溶性食物繊維(海藻、きのこ、野菜、果実、アボカド、プルーン、イチジクなど)は腸内を洗浄してくれます。
リーキーガット症候群の鍼灸・整体・マッサージ
臨床で使用する経絡・経穴の例:
身柱(しんちゅう)、肝兪(かんゆ)、膈兪(かくゆ)。
志室(ししつ)、腎兪(じんゆ)。
期門(きもん)、中脘(ちゅうかん)、肓兪(こうゆ)など。
関連疾患
お友達にシェアする!
参考文献
隠れ病は「腸もれ」を疑え! - あなたを不調から救う、「腸もれ症候群」80の基礎知識
藤田 紘一郎 (著)
ワニブックス
2017/6/8 発売
リーキーガット症候群 関連外部リンク
Leaky gut: What is it, and what does it mean for you?
Harvard Health Publishing®
What is Leaky Gut Syndrome?
Canadian Digestive Health Foundation.
The Leaky Gut: Mechanisms, Measurement and Clinical Implications in Humans
National Library of Medicine