過敏性腸症候群 (IBS)
英語
Irritable Bowel Syndrome
もくじ
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過敏性腸症候群 とは
過敏性腸症候群 (IBS) は, 腹痛や腹部不快感などの下腹部を中心とした腹部の症状や、便秘や下痢などの便通異常を訴える原因不明の病気です。

過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群は、症状の原因となる器質的疾患を認めない機能性疾患です。
過敏性腸症候群の特徴
過敏性腸症候群は致死的な疾患ではないが、日常生活の質(QOL)を著しく阻害するので適切な治療を要するとされてます。
過敏性腸症候群の要因
過敏性腸症候群の成因としては大腸を中心とした消化管運動の異常が考えられています。
その他、消化管知覚閾値の低下やストレスなどの心理的要因、ライフスタイルの乱れなどによる自律神経の乱れが考えられています。

過敏性腸症候群の定義
過敏性腸症候群 は2006年に発表されたRome Ⅲ基準においては、
「腹痛、もしくは腹部不快感が最近3カ月の中の1カ月につき、少なくても3日以上は生じて、
①排便によって改善する
②排便回数の変化で始まる
③便性状(外観)の変化で始まる
の3つの便通異常のうち2つ以上の症状を伴うもの」と定義されました。
Rome Ⅲ基準は糞便の形状を重視して、その割合で分類するのが特徴です。
過敏性腸症候群の鑑別疾患
大腸癌、クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の除外
感染性腸炎、虚血性腸炎、大腸憩室症などの腸疾患の除外
腎泌尿器系、婦人科、後腹膜疾患などの器質的疾患の除外
過敏性腸症候群の検査
理学的検査、尿一般検査、末梢血検査、炎症反応、便潜血検査、便細菌培養検査、腹部超音波検査、注腸造影検査、大腸内視鏡検査など
過敏性腸症候群の問診
大腸癌の家族歴、血便、体重減少、発熱の有無など
過敏性腸症候群の特徴と指導
過敏性腸症候群は、ストレスやライフスタイルの異常が成因や増悪因子となっていることがあるといわれています。
睡眠不足、不規則な食生活、偏食や高脂肪食の摂取、多量の糖分や飲酒など。
規則的なバランス食の摂取と適度な運動、十分な睡眠が大切です。

過敏性腸症候群の薬
一般的な薬物療法としては、消化管運動機能改善薬、高分子重合体 (ポリカルボフィルカルシウム)、抗うつ薬、抗不安薬、緩下剤、健胃消化薬などが用いられています。
過敏性腸症候群における薬物療法の長期間の研究が少ないので、副作用についての考察があまりされていないのが現状です。
過敏性腸症候群と心理学
過敏性腸症候群は心理的要因が強いと言われています。
薬物療法により効果が認められない患者のうち、約3分の2は心理療法も検討することが有効であるといわれています。

過敏性腸症候群の鍼灸・整体・マッサージ
臨床で使用する経絡・経穴の例:
背部では厥陰兪(けついんゆ)、心兪(しんゆ)、膈兪(かくゆ)。
腰部では腎兪(じんゆ)。
足三里(あしさんり)、復溜(ふくりゅう)など。
パニック障害
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参考文献
IBS(過敏性腸症候群)を治す本
水上 健 (著)
法研
2016/9/8 発売
過敏性腸症候群 (IBS) 関連外部リンク
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
Ministry of Health , Labour and Welfare
Irritable Bowel Syndrome in Children
National Institutes of Health U.S.
Irritable Bowel Syndrome (IBS)
The Johns Hopkins University