暴露療法
英語
Exposure therapy for panic disorder
暴露療法(エクスポージャー行動療法)
暴露療法 (エクスポージャー行動療法)
暴露療法は、不安や恐怖を感じる場所や状況にあえて自ら身をさらして慣らしていく行動療法です。
暴露療法は、PTSDの治療法として開発されましたが、恐怖症への効果も認められ、パニック障害の行動療法の治療として一般的に行われています。
段階的暴露療法
暴露療法のやり方
段階的暴露療法のやり方
集団暴露療法(集団行動療法)
想像的暴露療法(想像的行動療法)
自己暴露療法(自己行動療法)
段階的暴露療法
暴露療法の基本は段階的暴露です。
段階的暴露は、何もしなければ不安の点数は自然に下がっていくと言う馴化(自然と環境に馴染んでいく)に終点を当てた行動療法です。
パニック発作が起きないことを少しずつ体験し、行動範囲を広げていきます。
徐々に暴露時間を長くして、繰り返し暴露することにより不安や恐怖心を減らしていきます。
暴露療法ではまず最初に達成したいと思う目標を全て細かく書き出します。
その目標の中ですぐに達成できそうなものから難しそうなものまで、段階的に難易度をつけます。
難易度のレベルの低いものから1つずつ実行していきます。
暴露療法を実行する前に、自律訓練方などを行って、リラックスさせてからおこないます。
また暴露療法を終了後も自立訓練法などを行い、心身をリラックスさせます。
暴露療法のやり方
①不安階層表の作成
電車で一駅乗るのが不安
美容院でシートにくるまって座るのが不安
飛行機で海外旅行するのが不安
②暴露
電車で一駅乗る
電車に乗っている時、不安が襲ってきても、漸進的筋弛緩法等の、不安を自分で下げるための、安全行動を取らないようにして反応妨害を防ぎます。
電車に乗っている時は不安だと思うその思いをそのままに、身を任せるようにします。
電車に乗る直前、電車に乗っている途中、電車から降りた直後に不安度の点数をつけます。
これを2回、3回、4回と繰り返し行います。
患者は、不安になれることができると言う事実を発見し、段階的に不安度の高い場面に立ち向かうことができるようになっていきます。
段階的暴露療法のやり方
例: 電車に乗ると予期不安と広場恐怖症が起こる女子大生
①目標の作成
朝の通学時間帯に、自宅の最寄り駅から電車に乗って大学へ行く
②目標のレベル設定
空いている時間帯の電車に一駅区間お母さんと乗る
空いている時間帯の電に2駅区間お母さんと乗る
↓
朝の通学時間帯の電車に一駅区間お母さんと乗る
↓
朝の通学時間帯の電車に2駅区間お母さんと乗る
↓
朝の通学時間帯の電車でお母さんと目的地まで行く
↓
空いている時間帯の電車に一駅区間1人で乗る
↓
空いている時間帯の電車に2駅区間1人で乗る
↓
朝の通学時間帯の電車に一駅区間1人で乗る
↓
朝の通学時間帯の電車に2回聞く間1人で乗る
↓
朝の通学時間帯の電車で1人で目的地まで行く
③目標の実践
徐々に一つ一つハードルを上げていく方法
ある段階から行けそうならハードルを上げていく方法
最初からハードルを上げていく方法
補足
実践前と実践後に自律訓練方で心身をリラックスさせます。
集団暴露療法(集団行動療法)
暴露療法を1人ではなく、同じパニック症の仲間と一緒に行う方法です。
暴露療法をみんなで行うことにより、たった1人で挑戦するよりも恐怖心や不安感を軽減することができると言われています。
個人で行う行動療法では、自分が不安や恐怖を感じる場面を自分で設定します。自分の体力や精神力に合った行動を実践でき、自分のペースでできると言うメリットがありますが、1人で行うため心細く挫折しやすいと言う面があります。
集団行動療法は、みんなで行うので、挫折するケースが少なくなると言われています。
不安障害で悩まれている方は、孤独感を感じがちです。しかし集団的に行動療法を行うことにより、同じような悩みを抱える方が一緒に行動することで、悩みや目標を共有できるので、治療に前向きに取り組むことが可能となります。
集団行動療法では、互いに励ましあったり、他のメンバーの成功体験を聞き学ぶこともできます。
もし1人で行う行動療法がうまくいかない場合、集団行動療法を試してみるのも1つの手です。
集団行動療法では、同じようなパニック障害レベルの人たちでグループを作るので、互いに理解し合いながら助け合うことが可能となります。
また人間関係を広げることができるのも大きなメリットです。1人で悩んでいたことを、同じような悩みを持つ誰かに相談できる事は心理的な安心感を得られます。
また同じような悩みを抱えた人の気持ちを理解しサポートする側に回ることにより、「誰かの役にたつことができる」、といった喜びが大きな自信につながることもあります。
想像的暴露療法(想像的行動療法)
暴露療法を診察室やカウンセリングルームにいながら、段階的暴露をイメージして、想像的に暴露療法を行います。
現実の場所に暴露されるよりも難易度が低いため、初期の段階で行われることがあります。
また医師やカウンセラーの管理下で行うことができるため、行動療法中にもし発作が起きたとしても、対処ができるメリットがあります。
デメリットは、あくまで想像のバーチャルリアリティー体験なので、これがうまくいっても、実際の場所で不安や恐怖が克服されたとは言えないと言うことです。
自己暴露療法(自己行動療法)
自己行動療法は不安や恐怖心の少ない方、あるいは不安や恐怖心の少ない時に、予期不安や、広場恐怖による不安な場面に自ら暴露していくセルフ行動療法です。
暴露療法は、本来何もしなければ不安の点数は自然に下がっていくと言う馴化(自然と環境に馴染んでいく)に終点を当てた行動療法ですので、不安や恐怖心を考慮しながら、あえて自然な行動をとって慣れていきます。
最初は不安の小さな場面から、段階的に範囲を広め、最終的には薬物もなしでの行動を目指します。
パニック障害
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参考文献
薬なし、自分で治すパニック障害
(著)森下 克也
KADOKAWA
2014年03月27日発行
精神科臨床における行動療法―強迫性障害とその関連領域
(著)飯倉 康郎
岩崎学術出版社
2010年06月21日発行
関連外部リンク
Exposure Therapy
Cleveland Clinic
Coping Skills and Exposure Therapy in Panic Disorder and Agoraphobia: Latest Advances and Future Directions
National Library of Medicin
Exposure Therapy for Anxiety Disorders
Psychiatric Times