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経絡・経穴(ツボ)

神門(しんもん)

「心神の出入り口、心の“関所”」

情報過多で疲弊し、刺激に敏感になりすぎた心。

そんな時、神門を調えることで“外の世界”との適切な距離感が戻る。

神門は、心の鍵穴のような存在。

自分の中に帰る道を見失いそうなとき、そっと扉に手をかざせば、

そこにちゃんと「戻る場所」があることを思い出せる。

英語
Heart(HT)7
(Spirit Gate)

神門(しんもん)(兪土穴)(原穴)

手の少陰心経7
The Heart Meridian of Hand-Shaoyin

神門
しんもん
shinmon

取穴部位
手関節前面横紋の尺側で、豆状骨の上縁、尺側手根屈筋腱の橈側に取る。
手を軽く背屈し、腱の外側で最も深い“くぼみ”を探るのがコツ。脈の拍動を感じられることもある。

筋肉
尺側手根屈筋腱、掌側手根靭帯

運動神経
尺骨神経

知覚神経
尺骨神経(手掌枝)

血管
尺骨動脈(手根枝)

手の少陰心経

主治
・不眠、入眠困難、中途覚醒、夢が多いなどの睡眠障害
・不安神経症、心悸亢進、情緒不安定、抑うつ気分
・健忘、集中力の低下、心が“ここにない”感じ
・手関節の痛み・腱鞘炎、しびれ、手の冷えやむくみ
・舌先の痛みや口内炎(心火上炎)

名前の由来(オリジナル解釈)
「神」は**精神・心神・魂の根源**を、「門」は**出入り口・境界・切り替え点**を意味する。
すなわち「神門」とは、“心の世界と外界との間に存在する魂のゲート”を指す。
このゲートが開きすぎると外からの刺激に過敏となり、閉じすぎると自己の世界に閉じこもる。
神門はその**開閉の調節を担う、魂の「関所」**である。

中医学的意義
・**兪土穴**として、臓腑の「実熱」や「虚寒」のバランスを整える作用。
・**原穴(げんけつ)**として、心経そのものの「本質的エネルギー」に直接アクセスできる中枢点。
・「心主血脈・心蔵神明」の原理により、**血と神(精神)を同時に整える**ため、精神疲労やストレスに効果的。

現代的応用・象徴的意義
・日々のストレスで“心の扉”がゆがみ、**人間関係や情報との距離感がつかめなくなる現代人**にこそ、神門は必要。
・神門を通じて「心神の安住地」を築くことが、**本当の意味での“安心”につながる。**
・神門は**現代人の心のホームポジション(基準点)**を取り戻すスイッチ。

セルフケアのヒント
・不安で眠れないとき、神門に指の腹を当てて「ふーっ」と息を吐くように優しく押す。
・朝起きたときに動悸や憂うつ感がある場合、神門を温灸や温かい手で温めてから行動する。
・「本来の自分」がわからなくなったとき、神門にそっと触れながら深呼吸を3回。

注意点
・精神的に過敏な人は、最初はやさしいタッチで始めると良い。
・過度に刺激すると、まれに情緒の波が強く動くこともあるため注意。

→少府(しょうふ)

←陰郄(いんげき)

→足の陽明胃経

←手の太陰肺経

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