HOME | 経絡・経穴(ツボ) | 足の陽明胃経 | 上巨虚(じょうこきょ)

経絡・経穴(ツボ)

上巨虚(じょうこきょ)

「ため込んだものを手放す」出口の始点

物理的な排出だけでなく、心の詰まりや情報過多にも効くツボ

頭で抱えてしまうタイプの人にこそ、身体を通じて“流れ”を取り戻す鍵

英語
Stomach(ST)37
Shangjuxu(Upper Great Hollow)

上巨虚(じょうこきょ)

足の陽明胃経37
The Stomach Meridian of Foot Yangming

上巨虚
じょうこきょ
jokokyo

取穴部位
足三里穴から下へ3寸(約指幅4本分)下がった位置。
脛骨の外側縁に沿って圧痛点を確認し、前脛骨筋の筋腹部に取る。

筋肉
前脛骨筋

運動神経
深腓骨神経(L4〜S1)

知覚神経
外側腓腹皮神経の枝

血管
前脛骨動脈

足の陽明胃経

主治
・大腸疾患(便秘、下痢、腹痛、腸鳴など)
・腹部膨満感、ガスの滞り、排便困難
・下肢の筋肉疲労、膝下のだるさや冷え感
・慢性の便秘やストレス由来の腸トラブル
・体内に“たまって出ない”停滞感の解消にも

経穴の性質と独自の視点
・「大腸の下合穴」に該当し、大腸と特に関係が深いツボ。
・上巨虚は、「積滞をさばく」「ため込んだ感情を流す」働きがある。
・腸は“第2の脳”ともいわれ、情緒や思考パターンと直結する。
・思考や情報に溺れて「前に進めない」と感じる人にとって、
 このツボは“頭での詰まり”を“腹でほどく”ための入り口でもある。

名前の由来(オリジナル解釈)
「巨」は“大きな集まり”、「虚」は“空・うつろ”を意味する。
「上の巨虚」とは、
「大きなものが集まり、それが流れていく上流の空間」と読み解くことができる。
つまり、思いや情報が溜まる“上流の貯水池”のような場所。
ここを整えることは、「流れの再起動」を意味する。

中医学的意義
・陽明経は“多気多血”の性質を持ち、気血の供給に富む経脈。
・大腸は「肺と表裏関係」にあり、上巨虚の調整は呼吸器にも影響を与える。
・“実熱による腸の渋滞”や“冷えによる蠕動低下”いずれにも応用可能。

精神・スピリチュアル的視点(独自解釈)
・「人に言えず、ため込んでいる感情」が腸に出ることがある。
・上巨虚は、「抑え込まれた本音を、静かに流すツボ」とも言える。
・「過去に固執しすぎて動けない」「自分の中だけで悶々としている」
 という状態から抜け出すサポートとなる。

臨床応用メモ
・便秘には太渓、内庭など清熱・潤腸系のツボと併用
・過敏性腸症候群には神門や内関など精神安定のツボと組み合わせる
・下肢疲労や冷えには血海、三陰交などとの併用もおすすめ

セルフケア
・下腹部の張り、ガス溜まり、便秘などの時にゆっくり押圧
・お風呂の中で温めながら押すと緊張がほどけやすい
・朝の排便前に刺激すると、スムーズな習慣づくりに役立つ

注意点
・生理前後で下腹部に違和感がある時は控えめに
・過度な刺激は腸に負担をかけることがあるので様子を見ながら使用

→條口(じょうこう)

←足三里(あしさんり)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

関連記事

胃 東洋医学