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少商(しょうしょう) |
英語
Lung(LU)11
Shao Shang(Lesser Shang)
少商(しょうしょう)(井木穴)
手の太陰肺経11
The Lung Meridians of Hand Taiyin
少商
しょうしょう
syousyou
取穴部位
母指(親指)の橈側爪甲根部、爪の付け根の外側角を約1分(約2mm)離れたところ。
爪の生え際のキワにある敏感なポイントで、爪と皮膚の境目に微細な気の入口があるとされる。
筋肉
(皮膚直下で筋層は浅く、目立った筋肉はなし)
運動神経
該当なし(表皮のみ)
知覚神経
橈骨神経浅枝
血管
爪郭周辺の微細な末梢毛細血管

主治
・咽喉の急激な腫脹や痛み(扁桃腺炎、咽頭炎)
・意識障害、気絶、昏睡などの緊急時の刺絡(放血)穴としても用いられる
・高熱による譫妄(うわごと)、発熱初期における風熱の発散
・母指先端の感覚異常、冷え、しびれ
名前の由来(独自解釈)
「少商」の“少”は「小さい」「初めの」という意味を持ち、
“商”は五音の一つで、五臓では「肺」に対応する音律とされる。
つまり「少商」は、“肺の音が最初に発せられる一点”という象徴的意味を持つ。
肺の精気が体表に最も初めて現れる「音の端点」——それが少商である。
井木穴としての特性
・井穴は経絡の始まりであり、気が動き出す「泉のようなポイント」。
・“木”に属し、風邪(ふうじゃ)など外邪の入り口でもあり、
同時にそれを追い出す“最初の出口”として使われる。
臨床応用(オリジナル視点)
・声が出ない、喉が急に詰まる、そんな「緊急時」に親指の端をチクッと刺激するだけで、
声が戻った、喉が開いたという即効性を感じる場面がある。
・母指は“意志”を表す指。少商に触れることで、「もう一度立ち上がる意思」に火が灯ることも。
感情との関わり
・肺が司る「悲」は、外からではなく“体内からあふれてくるもの”。
・少商はその悲しみが“音”となって喉に詰まったとき、それを静かに抜き取る場所。
・悲しみが怒りや無言の抵抗へと変わる前に、ここでそっとその気を逃がすことができる。
養生法としての活用
・風邪のひきはじめで喉に違和感があるとき、少商を爪楊枝で優しく刺激すると、
未然にこじらせずに済むことがある(刺激は軽く、ごく短時間)。
・朝起きたとき、喉や胸のあたりが詰まっているようなら、
少商を指で押しながら「深く吐き出す呼吸」を数回行ってみるのも効果的。
補足(オリジナル洞察)
・少商は、肺経の“最初の一滴”。この滴が澄んでいれば、全経の流れは清らかになる。
・逆にこの一点が濁れば、全身の気の流れに淀みが出る。
・“始まりを整えることは、すべてを整えることに通じる”——それがこのツボの本質である。
・特に子どもや高齢者のケアでは、このツボの反応を通して全身の調和を見極められることもある。
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