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経絡・経穴(ツボ)

督兪(とくゆ)

督兪は、「背中の緊張が言葉よりも先に訴えてくる」場所。 誰にも言えない圧迫感、決断を迫られる恐怖、自分を責める癖…… そうした“無言のストレス”が、まさにこのツボに集まってくる。

英語
Bladder(BL)16
Du Shu(Governing Shu)

督兪(とくゆ)

足の太陽膀胱経16
The Bladder Meridian of Foot-Taiyang

督兪
とくゆ
tokuyu

取穴部位
第6胸椎棘突起下縁(T6)から外方に1寸5分。
脊柱のやや外側ライン、肩甲骨の内側縁に沿って走る膀胱経上にあり、
姿勢の崩れや胸郭の固さで触知が困難になることがあるため、
まず胸椎のカウントと肋骨弓の位置確認が有効。

筋肉
僧帽筋、菱形筋(大・小)

運動神経
副神経、頚神経叢筋枝、肩甲背神経

知覚神経
胸神経後枝(T6)

血管
肋間動脈、第6肋間腫脈枝

足の太陽膀胱経

主治
・脊柱起立筋の過緊張、肩甲骨内側の慢性疼痛
・自律神経失調による体温調節異常、ほてり、寒気
・胸郭の閉塞感、息が入りにくい感覚
・呼吸器症状(慢性の咳、胸中の重だるさ)
・緊張型頭痛、身体に力が入りすぎるタイプの不眠

名前の由来(オリジナル解釈)
「督」は『統べる』を意味し、「督脈」を象徴する。
「兪」は『通じる、癒す、放つ』。
つまり**督脈(背面の陽の総経)の調整窓口であり、督脈の気が背中から解放・交流されるポイント**がこの「督兪」である。

このツボは、脊柱の中心に流れる督脈と、左右を走る膀胱経が交わる場でもあり、
**身体の「背骨を通じた気の指令塔」としての役割を担う。**
現代で言えば、姿勢・自律神経・精神バランスという三大調整軸に関与する重要な調整ポイント。

中医学的意義
・督脈は「諸陽の海」と呼ばれ、全身の陽気を支配する経脈。
・督兪はこの陽気の外放点であり、**陽気の過不足による不調(疲労感、冷え、イライラ、焦燥感)**に対応。
・また、胸中の「気逆(きぎゃく)」によって呼吸困難や咳が出る場合にも、ここを介して調整が可能。

現代的応用
・パソコン・スマホ操作による猫背・ストレートネックの慢性化に伴う「胸が開かない症状」
・副交感神経が働きにくく、交感神経優位のまま眠れないタイプの人
・心因性の過呼吸、不安時の「胸が詰まる感じ」にも有効

精神・スピリチュアル的意味
・「督兪」は、人間の“背骨=意志”を支える場所。
 その背骨を通じて、**宇宙的エネルギー(陽気)を受け取るパイプの開閉バルブ**として働く。
・現代人が陥りがちな“意志のねじれ”や“胸の圧迫感”は、ここに「滞り」があるサイン。
・心ではなく「意志」に迷いがあるとき、背面のエネルギーがねじれ、督兪周辺が硬くなる。
 →このツボを整えることで、自分の生き方や進む方向性がクリアになることもある。

臨床での応用例
・督兪 + 心兪 → 精神的ストレスによる体の硬直や神経過敏に
・督兪 + 膈兪 → 胸郭の柔軟性改善、肋間神経痛・咳などに
・督兪 + 太陽 → 風邪初期、うなじから背中にかけてゾクッとする感覚へのアプローチ

セルフケア・実践法
・シャワーを当てるように、温めてゆっくり呼吸を通すことで、背中の閉塞感が解放される
・後ろ手で自分の背中にそっとタッチすることで、自分の「背中を預ける力」を取り戻す
・誰かに背中をさすってもらうだけでも、督兪が緩みやすくなる(=自己信頼が戻る)

→膈兪 (かくゆ)

←心兪(しんゆ)

→足の少陰腎経

←手の太陽小腸経

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