HOME | 経絡・経穴(ツボ) | 足の太陰脾経 | 周栄(しゅうえい)

経絡・経穴(ツボ)

周栄(しゅうえい)

「心の熱が冷まされ、気が巡る最終駅」

忙しすぎる日々、考えすぎる頭、閉じてしまった胸…。

**周栄(しゅうえい)**は、そんな状態を緩やかに解き、全身の「めぐり」を再開させるスイッチのような存在です。

英語
Spleen(SP)20
Zhourong(All-Round Flourishing)

周栄(しゅうえい)

足の太陰脾経20
The Spleen Meridian of Foot Taiyin

周栄
しゅうえい
shuei

取穴部位
紫宮穴(任脈19)の外6寸、屋翳穴(胃経18)の外2寸の第2肋間に取る。
※鎖骨のすぐ下、第2肋間のラインに位置し、乳頭よりも外上方、やや鎖骨の下の丸みに沿って指を滑らせると圧痛点に当たる。

筋肉
大胸筋(深層に肋間筋)

運動神経
内・外側胸筋神経

知覚神経
第2肋間神経外側皮枝

血管
外側胸動脈、肋間動脈

足の太陰脾経

主治
・胸部膨満感、呼吸困難感、胸悶(むねがつまるような感じ)
・心悸(動悸)、咳、喘息、胸部の熱感
・乳房周辺の痛みや腫脹(特に月経周期に関連するもの)
・抑うつ、不安、精神的緊張による上半身のこわばりや浅い呼吸

中医学的意義
・脾経の胸部上端に位置し、**「気血が胸中を巡り、心肺に滋養を与える」終着点**。
・脾の気が「胸に到達し栄える(=栄)」ことで、**呼吸、心拍、情緒のバランス**が保たれるとされる。
・とくに“意(こころ)”と“思(おもい)”の関係が過剰になりすぎたとき、胸部に熱感や緊張が生まれるが、
 このツボを用いることでその**気の過剰な集中を和らげ、循環へと導く**。

名前の由来(オリジナル解釈)
・「周」は広く巡ること、「栄」は栄えること。
・**「全身を巡った気血が、胸部で栄え輝く場所」**という意味。
・ただし逆に言えば、ここで巡りが滞れば「胸に溜まり、熱や痛みとして現れる」ため、流れの調整点としての意味も持つ。
・精神的な活動が過剰になったとき、胸中に“栄えるはずの気”が滞り、「思い詰める・息がつまる」状態になる。
 その詰まりを流し、**“心に余白を与える”**のが周栄である。

象徴的な意味・心身へのアプローチ
・現代人に多い“頭と胸だけで生きている”状態に対して、
 **全身を使って生きる感覚を取り戻す**ための扉。
・周栄に触れながら「気持ちの循環が止まっていないか?」と問うことで、
 **心の過熱や、感情の過集中を静かに鎮める**手助けになる。

セルフケアのヒント
・浅い呼吸や、胸にモヤモヤを感じるとき、胸を広げるストレッチの後に軽く押圧すると気の流れが回復しやすい。
・緊張で胸が詰まっていると感じたとき、「私は胸を開いて、自由に巡らせます」と唱えながらやさしく押すと、
 心理的な解放につながることもある。

注意点
・第2肋間は浅く、肋骨間動脈・神経が走行しているため、強圧は避け、軽く皮膚と筋膜を動かす程度が望ましい。
・乳房への影響も考慮し、女性への施術は配慮をもって行うこと。

→大包(たいほう)

←胸郷(きょうきょう)

→手の少陰心経

←足の陽明胃経

関連記事

脾 東洋医学