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丘墟(きゅうきょ) |
「内なる抑圧を足元から解き放つ」ツボとしての深い臨床的意義を持っています。
英語
Gall Bladder(GB)40
Qiu Xu(Hill Ruins)
丘墟(きゅうきょ)(原穴)
足の少陽胆経40
The Gallbladder Meridian of Foot-Shaoyang
丘墟
きゅうきょ
kyukyo
取穴部位
外果(外くるぶし)の前下方で、足を外転し背屈したときに最もへこむ陥凹部。腓骨と第5中足骨の間、下伸筋支帯のやや前方に位置する。
触診の際には、筋緊張や圧痛点の有無を確認し、冷え・むくみ・神経過敏のある人ではやや敏感に反応することがある。
筋肉
下伸筋支帯(腓骨筋腱や長趾伸筋腱を固定する靭帯)
運動神経
(該当部は主に腱部であり直接支配する筋肉は少ない)
知覚神経
浅腓骨神経
血管
前外果動脈、外側足根動脈
主治
- 足関節周辺の腫れ・痛み・捻挫後の違和感
- 膝・股関節の可動域制限(胆経の連動による)
- めまい、耳鳴り、難聴など「頭部の流れの停滞」に関する症状
- 情緒の停滞、特に「外からのストレスに敏感な人」による抑圧型ストレス
- 右側に偏る症状(右側頭痛・右肩こり・右下腹部の違和感など)
名前の由来
「丘墟」とは、「盛り上がった土地(丘)」と「廃墟・空虚な地(墟)」という**対比的な言葉**が合わさった名称です。 この経穴の部位は**足関節周辺の骨格と靭帯構造が交差し、盛り上がった丘のようでもあり、深いくぼみ=虚のようでもある**特殊な構造をもっています。 つまり「気が集まり、同時に抜けていく場所」、**エネルギーの分岐点=胆経の“原点”**としての意味が込められています。
その他・臨床的意義
- 胆経の「原穴」として、胆経全体の調和・調節に用いられる重要ポイント。
- 特に「精神的プレッシャーが肉体に現れている状態」に反応しやすい。
- 交感神経優位が続くと敏感になりやすく、自律神経症状(動悸・呼吸浅い・目の疲れ)にも影響。
- 人間関係で“無理に適応”し続けているタイプの患者に対して、丘墟を用いた施術は深い呼吸と共に「本来のリズム」を取り戻す助けとなる。
- 足関節まわりの可動制限を解除することが全身の経絡調整にも繋がりやすい。
施術者への臨床ヒント
「丘墟」は見た目には小さなツボだが、施術時に指がピタッとはまるような「鍵穴感覚」があることが多い。
身体の最も末端に近い部分にあるにもかかわらず、触れることで**頭部や胸部の緊張がゆるむ**など「遠隔調整効果」を発揮することがある。
施術中に患者が深く安堵の息をついたり、足元から温かさを感じることがあるのも特徴的。

→足臨泣(あしりんきゅう)
←懸鐘(けんしょう)
→足の厥陰肝経
←手の少陽三焦経
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