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完骨(かんこつ) |
英語
Gall Bladder(GB)12
Wan Gu(Completion Bone)
完骨(かんこつ)
足の少陽胆経12
The Gallbladder Meridian of Foot-Shaoyang
完骨
かんこつ
kankotsu
取穴部位
乳様突起の中央後方で、髪際より約4分(約8mm)奥に入った陥凹部。
指で軽く圧迫すると、首筋の緊張が緩むポイントで、奥行きのあるくぼみが触れる。
耳たぶの後方、頭蓋と頸部の境界を意識して取穴する。
筋肉
胸鎖乳突筋、頭板状筋
運動神経
副神経、頚神経叢筋枝、脊髄神経後枝
知覚神経
小後頭神経
血管
後頭動脈の分枝
主治
- 後頭部痛・緊張型頭痛
- めまい・ふらつき・耳鳴り・難聴
- 頚部こり・肩上部の重だるさ
- 精神的な過緊張・不眠症・神経過敏
- 顔面神経麻痺や耳周囲の異常感覚
名前の由来(語源と象徴)
「完骨」は「完(まった)き骨」という意味で、頭部と頸部を結ぶ「人の構造的完成点(節目)」を象徴する。
また「完」には「守り・覆い・全体性」の意味があり、この穴が「脳(髄)を守る最後の砦」とも解釈される。
陰陽の結節点ともされる頭頸境界部に位置し、**上と下の気血を整える重要な“関所”**である。
東洋医学的意義
- 風邪(ふうじゃ)を外へ追い出す「風の門」として作用
- 少陽経(胆経)特有の“上熱・下寒”の不調に対して上下のバランスを整える
- 「風池(GB20)」と連動し、精神的ストレス・自律神経の乱れを緩める
精神的・象徴的意義
完骨は「首の向きを決めるツボ」。すなわち、**人生の方向を変えたい時に働きかけるべき経穴**とも言える。
心が固まり、視野が狭くなっているとき、このツボに触れることで「こわばった意志」や「固定観念」をほぐす手助けとなる。
「前を向きたいけど、首が回らない」という比喩的状態に、物理的・精神的両面から働きかける。
臨床応用・手技との組み合わせ
- 風池・翳風・頭竅陰と併用して耳・頭・自律神経の三位一体調整
- 肩上部〜側頭部にかけて強張りがあるケースに、刺鍼+温灸が効果的
- 不眠や心配性の患者には「耳後部の静けさ」を取り戻すセラピーとして使用

→本神(ほんじん)
←頭竅陰(あたまきょういん)
→足の厥陰肝経
←手の少陽三焦経
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