![]() |
頷厭(がんえん) |
「頷厭=脳の騒がしさを鎮める」という精神的キーワード
「言葉にできない思考や感情のざわつき」を抑える効果
五感と思考のバランスを整える“感覚のフィルター”的存在
胆火上炎に起因する上焦の熱症状への応用(耳・目・こめかみ)
英語
Gall Bladder(GB)4
Han Yan(Forehead Fullness)
頷厭(がんえん)
足の少陽胆経4
The Gallbladder Meridian of Foot-Shaoyang
頷厭
がんえん
ganen
取穴部位
頭維穴と懸釐穴を結ぶ線上で、頭維穴から約1寸下。側頭部に位置し、耳の上部やや前方のあたり。
口の開閉によって皮膚がわずかに動く場所で、触診によって動きのリズムを感じ取れる点。
筋肉
側頭筋、側頭頭頂筋(浅層の筋膜との連携も重要)
運動神経
顔面神経(側頭枝)、三叉神経(第3枝:下顎神経)
知覚神経
耳介側頭神経(下顎神経の枝)
血管
浅側頭動脈の前頭枝
主治
- 片頭痛(特にこめかみ周辺)、緊張型頭痛
- 眼精疲労、目の奥の痛み、まぶたのけいれん
- 耳鳴り、耳閉感、感音性難聴
- 顔面のけいれん・違和感
- 集中力の欠如・思考の停滞感
名前の由来(語源)
「頷」は「こめかみ(咀嚼に関係する部位)」を示し、「厭」は「おさえる・鎮める」の意。
つまり「頷厭」とは、「こめかみの騒がしさ(緊張や痛み)を鎮める場所」という意味を持つ。
また「厭」は「煩わしいものを払いのける」というニュアンスもあり、**思考過多や神経疲労による“脳の騒がしさ”を抑えるツボ**という解釈もできる。
現代人の“過活動な脳”をやさしく沈静化する役割を持つ。
臨床応用と効果
- 偏頭痛の定番穴。特にストレス性の一側性頭痛や目の奥の痛みと関連が深い。
- 側頭筋の緊張緩和により、顎関節の違和感や食いしばり癖にも好影響。
- 目と耳の中間に位置することから、五感の過敏状態を抑え、自律神経の安定に寄与する。
- 精神的に「過集中」や「考えすぎ」に陥っているとき、気を頭部から下ろす導引点として有効。
精神的なメッセージ
「頭がいっぱいだ」「考えが止まらない」──そんな状態にあるとき、頷厭は“思考のリセットボタン”となる。
無意識に噛みしめている自分、声にならないストレス。
このツボを整えることで、**言葉にならない焦燥感や感情のざわつき**が静まり、**内なる静寂**が戻ってくる。
「思い悩む」から「思いめぐらす」へ、**知性と直感の再統合**を助けるポイントでもある。
東洋医学的補足
- 胆経は決断力・勇気・計画性に関わる。「頷厭」はその流れの入口付近にある。
- 胆火上炎による頭痛、目の充血、耳鳴りなど、上焦に熱がこもった状態の調整にも使える。
- 特に「目と耳の調和をとる経穴」として、現代の五感過敏な状態に活躍する。

→懸顱(けんろ)
←上関(じょうかん)(客主人)
→足の厥陰肝経
←手の少陽三焦経
関連記事