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聴会(ちょうえ) |
中医学:「肝胆の風熱」「経絡閉塞による耳塞」「胆虚による決断困難」
応用例:「会議や面接、プレゼンで話せなくなる人」「他人の言葉に過剰反応して疲れるタイプ」などに使用
象徴性:「耳は外界との“扉”」「口は内界からの“発信”」=その“中間点”に位置するのが聴会
英語
Gall Bladder(GB)2
Ting Hui(Auditory Convergence)
聴会(ちょうえ)
足の少陽胆経2
The Gallbladder Meridian of Foot-Shaoyang
聴会
ちょうえ
choe
取穴部位
耳珠(じじゅ/耳の前のふくらみ)の前下方にある陥凹部。
口を軽く開けると、下顎骨が下がってくぼみが現れる部分で、浅側頭動脈の拍動が感じられる場所。
この動きによって「人と人との会話=聴き合い」が開かれる位置とされる。
筋肉
外側翼突筋の近傍、咀嚼筋群に隣接
運動神経
顔面神経(耳下腺部を通過)
知覚神経
耳介側頭神経(V3)
血管
浅側頭動脈
主治
- 耳鳴り、難聴、耳閉感
- 顎関節症、咀嚼痛、開口困難
- 三叉神経痛、顔面痛
- めまい、側頭部の頭痛
- 口の開閉に関連した耳の違和感
名前の由来(語源)
「聴」は“耳を澄ます”、“会”は“出会い・交わり”を意味する。
すなわち、「音(おと)や声が集まり交わるところ」=**“聴覚の門”**として命名された。
この場所は、耳と顎が交差し、聞くことと話すこと、さらには思考と表現が交わる関所でもある。
中医学では、「胆は決断をつかさどる」とされ、聴会は“他者の声を通して己を決断する”ための経穴とも言える。
臨床的応用と特徴
- 「口が開かない・音が聞こえにくい」など、“閉じた状態”を開く効果に優れる。
- 顎関節の緊張を緩めることで、間接的に耳の通気性を改善し、耳鳴りや耳詰まりに効果的。
- ストレスによる食いしばりや顎周囲の緊張が原因の顔面痛にも有効。
- “噛みしめ”と“黙る癖”がある人に施すと、会話能力やコミュニケーション意欲が回復することがある。
心身へのメッセージ
あなたは人の話を本当に「聴いて」いますか?
それとも、「聞こえてはいるけれど、届いていない」状態でしょうか。
聴会は、耳の門を開くだけでなく、**心の耳をひらくツボ**です。
意見や音、沈黙さえも「意味ある声」として受け止める力を養います。
そしてそれは、他人との関係を深めるだけでなく、自分自身の内なる声にも気づくことにつながるのです。
“聴く”とは、音を通して真実に出会うこと──聴会はその入口なのです。

→上関(じょうかん)
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→足の厥陰肝経
←手の少陽三焦経
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