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経絡・経穴(ツボ)

曲池(きょくち)

曲池(きょくち)の由来を「気血の溜まり場」や「熱の排出口」と解釈し、現代生活とのつながり(イライラ・肌荒れ・ストレス過多など)を意識することで、東洋医学の知識から一歩踏み込んだ治療につなげます。

英語
Large Intestine(LI)11
Qu Chi(Pool at the Bend)

曲池(きょくち)(合土穴)

手の陽明大腸経11
The Large Intestine Meridian of Hand-Yangming

曲池
きょくち
kyokuchi

取穴部位
肘を屈曲したときにできる肘窩横紋の外端で、上腕骨外側上顆のすぐ前方に位置する。指で押さえると、軽い圧痛を伴うくぼみがあり、肘を曲げ伸ばしすることで位置がはっきりする。

筋肉
長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、腕橈骨筋との境界付近

運動神経
橈骨神経(特に浅枝)

知覚神経
外側前腕皮神経

血管
橈骨反回動脈、橈側側副動脈

手の陽明大腸経

主治(伝統的な効能)
・肘・腕・肩の痛み、腫れ、しびれ
・熱性疾患(発熱、咽喉痛、皮膚の赤み)
・皮膚疾患(湿疹、じんましん、アトピー、ニキビ)
・便秘や腹部膨満感など、排泄の停滞
・高血圧、のぼせ、イライラ、情緒の乱れ

名前の由来(オリジナル解釈)
「曲池」は「肘の曲がるところに存在する“気の溜まり”」を意味する。
「池」は**水が集まる静かな場所**を表すと同時に、**気や熱が一時的に“留まりやすい”場所**であることを暗示している。特にこの場所は、体の「熱」がこもりやすく、**火と水の調整点**とも言える。曲池に熱が溜まると「顔が赤くなる」「皮膚に発疹が出る」などの現象が起きる。

臨床的な特徴
・陽明経(大腸経)は**“気血ともに豊富”**という特性があるため、この合土穴である曲池は、**外邪(熱・風・湿)を排出する力が非常に強い。**
・経絡上の“要穴”としての性質があり、他の経穴よりも深く、広範囲の症状に対応可能。

精神面への作用
怒り・イライラ・興奮といった“熱性の感情”を冷ます作用があり、特に**自分の感情をコントロールできないとき**に役立つ。
また、曲池に刺激を与えることで、過剰な思考や焦燥を静め、**「冷静に考える力」を取り戻す**助けにもなる。肘という「方向転換」の関節に位置していることから、**“気持ちの切り替え”にも関与する。**

現代的な応用
・スマホやPC作業でこわばった腕・手のリフレッシュに
・気温差やストレスによって悪化する肌トラブルへのケア
・イライラしやすく、顔がほてりやすい現代人の体質調整
・自律神経の乱れによる睡眠障害や不安感の緩和にも活用できる

セルフケアの方法
反対の手の親指で、肘の外側を軽く探るとツボが見つかる。5秒ほどゆっくりと圧をかけ、緩める。これを3〜5回繰り返すと、**熱のこもり感や頭の重さがスーッと引くことがある。**
特に入浴後や朝のストレッチ時に行うと効果的。

補足:経絡全体の中での位置づけ
曲池は大腸経の「合土穴」であり、**水と土の交わる調整点。**そのため、**身体の内外の“余分なもの”を排出する場所**として用いられる。
東洋医学では「熱は上に昇る性質」を持つとされ、曲池に熱が溜まると、顔・頭部への症状として現れやすくなる。よって、曲池はその熱を**下ろし、全身の流れを整える出口**と考えられる。

注意点
炎症の強い皮膚疾患があるときには、ツボへの直接刺激を避け、周囲から緩やかに刺激を与える。妊娠中の使用や高齢者への強い刺激は避け、専門家の判断を仰ぐことが望ましい。

→肘髎(ちゅうりょう)

←手三里(てのさんり)

→足の陽明胃経

←手の太陰肺経

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