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経絡・経穴(ツボ)

合谷(ごうこく)

合谷は単なる万能ツボとしてだけでなく、“自他の境界”や“意志と感情の調和”に関わる精神的ツボとしての意味を深掘りできます。

英語
Large Intestine(LI)4
He Gu(Union Valley)

合谷(ごうこく)(元穴)四総穴の1つ

手の陽明大腸経4
The Large Intestine Meridian of Hand-Yangming

合谷
ごうこく
goukoku

取穴部位
第1・第2中手骨底間の下の陥凹部、第2中手骨の橈側縁。
親指と人差し指を軽く開いたときにできる“山形の谷間”に位置し、押すとズーンと響くような感覚がある。

筋肉
第1背側骨間筋

運動神経
尺骨神経

知覚神経
橈骨神経浅枝

血管
第1背側中手動脈

手の陽明大腸経

主治(伝統的+現代応用)
・顔面痛、頭痛、歯痛、三叉神経痛
・鼻づまり、花粉症、アレルギー性鼻炎
・喉の腫れ、声枯れ、咽頭炎
・目の充血、疲れ目、まぶたのけいれん
・月経不順、出産時の陣痛促進、子宮収縮促進
・精神的な緊張、不安、情緒不安定
・便秘、胃腸の不調、消化器ストレスによる肩こり

名前の由来(オリジナル解釈)
「合谷」の「合」は“合わせる”、“統合”、“交わる”を意味し、「谷」は“気血が集まるくぼ地”を表す。
つまり、合谷は**異なるものが出会い、融合し、新しいものが生まれる場=生成と変化のツボ**と解釈できる。
特に手の「労働・表現・握る」という行為の中枢であるこの部位は、人間の「行動」と「感情」の交差点でもある。

元穴としての働き
・経絡の原気(源の気)が集まるポイントとして、大腸経全体の機能に影響を及ぼす重要なポイント。
・そのため、**一穴で全身調整が可能な“統括型のツボ”**ともいえる。
・大腸経が「肺」と表裏関係にあるため、呼吸器系疾患にも有効。

四総穴としての重要性
合谷は「面口の病は合谷を取れ」と古典に記され、顔面~頭部の症状に広範囲で効果がある。
また、**“気の開閉スイッチ”**として情緒面でも利用され、感情の高ぶりや沈みの調整に適している。

精神・感情との関係(独自洞察)
・手は「心の出先機関」とも言われ、合谷はその中心点。
・握る・放すという意志の動きは、合谷を通じて脳とつながる。
・怒りやストレスが「手に現れる」タイプ(こぶしを強く握る、手を振るなど)には特に反応が出やすい。
・また、人との境界が曖昧になりやすい人(過干渉・依存傾向)には、自他のエネルギーを調整するポイントとして用いられる。

左右の使い分け(オリジナル視点)
・右の合谷:外向きのエネルギー(行動・意志・決断)をサポート。仕事、挑戦、人との交渉などに。
・左の合谷:内向きのエネルギー(感情・感受性・調整)を整える。情緒、内観、家庭的なテーマに。

セルフケア応用
・スマホやパソコン作業で疲れたときに、合谷を3〜5分軽く指圧すると「気の滞り」が解けるように頭がスッキリする。
・眠気覚まし、集中力アップ、感情の整理にも効果的。
・指圧の際、呼吸に合わせてゆっくり押し、3秒かけて離すリズムが効果的。

補足
・産科では「陣痛を促す」ツボとして知られるため、妊婦の方は無断で強く押圧しないよう注意が必要。
・反応点として非常に敏感で、「少しの圧でズーンと響く」ことが多いため、感覚に耳を澄ませてケアすることが大切。

→陽溪(ようけい)

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→足の陽明胃経

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