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非結核性抗酸菌症

肺非結核性抗酸菌症の概要

肺非結核性抗酸菌症は結核菌、癩(らい)菌以外の人工培地で培養可能な抗酸菌が肺に感染して起こります。

抗酸菌は土や水などにいる菌で、結核菌やライ菌も抗酸菌に含まれますが、非結核性抗酸菌は結核菌のように、人どうしでは感染しません。

したがいまして結核とは違い隔離の必要はありません。肺結核の減少と反比例して非結核性抗酸菌症の患者数は増傾向にあります。

一番多くみつかる菌がマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス(Mycobacterium avium complex)(MAC)という菌です。

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最近の傾向

最も病変ができやすいのは肺ですが、リンパ節、皮膚、骨・関節などに病変を作ることもあります。

日本で最も患者数の多い肺非結核性抗酸菌症は肺MAC症で、近年増加傾向にあります。

特に気管支を中心に病変を作る肺MAC症が中年以降の女性(60歳代)に増えていますが、若年者にも見つかりはじめています。

健康診断や人間ドック

肺のCT検査で早期発見できる場合が多く、健診や人間ドックで肺を検査して見つかる人が約3割、咳や痰がひどい人が約4割、血痰が出た人が約3割程度です。

ゆっくりと進行する抗酸菌症

抗酸菌症の経過はゆっくり進行します。

菌の増殖のスピードが他の菌に比べると遅いからです。

例えば、増殖のスピードが速いことで知られている大腸菌の場合は細胞が分裂するのに約30分です。

結核の場合は細胞分裂に24時間から48時間程度です。非結核性抗酸菌の場合は結核よりも時間を要します。

非結核性抗酸菌症は、ジワジワと進行する慢性の呼吸器感染症ということがいえます。

薬が効きにくい

結核のように増殖が速ければ、化学薬品の効果が高い側面があります。

これに比べて、非結核性抗酸菌症の増殖速度は遅いため、薬の効果が得られにくく、長期にわたって数種類の化学薬品を使用する場合、生体にとっての大きな負担が懸念されます。

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結核との違い

結核のように重症化すると数年で死亡するということは少なく、ゆっくりと確実に進行する特徴があります。

10年単位の年月をかけて進行し、呼吸状態が悪くなって亡くなる方もおられます。

薬剤抵抗性

多剤耐性結核菌と同様にMACは種々の抗菌薬に抵抗性を有するので、菌根絶がほとんど不可能とされていて化学療法による治療は困難であるというのが現状です。

多クローン性感染

肺結核の患者では、同じ遺伝子の結核菌しか確認されないのに対し、MAC症では、色々な遺伝子をもったMAC菌が、肺内に同時に存在することが分かってきました。

これは、MAC症発病者で、一つの遺伝子のMAC菌を薬で叩いたとしても、その後、新たな遺伝子をもつMAC菌の感染を受けて肺病変ができる可能性があるということです。

化学療法がみつかっていない

非結核性抗酸菌症は薬による治療法がみつかっていない病気です。

初期段階では定期的な経過観察のみになります。

決して予後が良好であって治療の必要がないわけではありません。

症状が出てくると、結核と同じような化学療法を試行錯誤で行われることになります。

薬を複数使用する多剤併用療法なので副作用も強く、治癒する保証もないので子供やお年寄りの場合は経過観察(定期的なCTなどの撮影)のみとするのが一般的です。

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