HOME | パニック障害 | 森田療法

森田療法


森田療法

英語

Morita Therapy for panic disorder

森田療法

森田療法は、1919年(大正8年)に森田正馬により創始された神経質に対する精神療法です。

森田療法は、精神衰弱、神経症、不安障害、心身症、うつ病、PTSD、パニック障害などの疾患に適用されています。

森田は幼少年期から死の恐怖に悩まされていました。

「私は少年時代から40歳頃までは、死を恐れないように思う工夫はずいぶんやってきたけれども、死は恐れざるを得ず、と言うことを明らかにした後は、そのような無駄な骨折りをやめてしまったのであります。」と森田はいっています。

1898年森田は25歳で東京帝国大学医学部に入学しました。大学入学後もいわゆる心身症と呼ばれる身体症状に見舞われ、内科では神経衰弱と脚気と診断され薬物治療を受けていました。

ある日、父親からの学費の送金が遅れたことを誤解して腹を立てた森田はやけくそになり、今まで飲んでいた薬や治療を一切やめ、試験勉強に必死で打ち込みました。

そこで森田は、長年悩まされ苦しめられてきた神経衰弱の症状は一気に軽減し、試験の成績も良く、不安から逃げないこと(不安の逆説)が大切であることを実感しました。

注意を心身の不調にではなく、外部に向け、目の前の作業に取り組むことが大切であることを実感しました。

そのためには、捨て身(開き直り)になることが必要であると言うことを実感し、神経症的不安を解消していきました。

その体験が森田療法の技法の根幹に関連しています。

森田の人生のテーマは、生と死、生きることと死の恐怖であったと言われています。

森田は、宗教や東洋哲学にも興味をもち、複式呼吸や白隠禅師の内観法なども試みました。

加持や祈祷などの宗教的な実験や観察も行っていました。

これらが森田療法の理論に役立っていると考えられています。

森田療法は、現在でも世界的に知られる治療法です。

森田療法の基本は、(あるがままに生きる)と言う考え方です。

森田療法では、気分にとらわれることなくまず行動すると言うことです。

森田療法では、緊張や不安をよしとし、それにとらわれることなく、不安であっても、緊張していても、気がかりがあっても、行動する。

こういった習慣により精神的なストレスも軽くなり心身症の症状も軽減し、物事が進んでいくことでよりシナジー効果が発揮されるといったものです。

森田は治療に薬物を使用しませんでした。

森田は著書で「あるがままでよい、あるがままよりほかに仕方がない、あるがままでなければならない」とかいうことになる」と述べています。

注: 森田正馬は治療に薬物を使用しませんでした。現在、森田療法を行っている医療機関では薬物を使用していることがあります。

森田療法

森田療法のやり方

第一期 絶対臥褥(ぜったいがじょく)期:

約1週間程度の隔離生活

患者を個室に隔離し、食事、洗面、排泄など基本的な生活行動以外の活動を制限してベッドに横たわる。

この際に以前から抱き続けてきた不安が強く頭をもたげ、恐怖心などに苦しむが2、3日を経て心身が安静の状態に入る。

孤独な状態でも大丈夫だと悟る。

5日かくらい過ぎたころには、蓄えられたエネルギー、解放された不安状態、抑えられていた「生の欲望」が一体となり、日常生活に早く復したいという心境に至る。



第二期 軽作業期:

外界に触れ軽作業をする

臥褥期に起こった「生の欲望」をそのまま日常生活における作業に移し替えようとする期間。

エネルギーを全部出しきらずに抑制させながらやや欲求不満の状態にしておく。

軽作業で、他人との対話も制限し、庭の観察や簡単な身体運動などの静かな生活を行う。

この時期から主治医との「個人面談」と「日記指導」も行う。



第三期 作業期:

睡眠時間以外は何かの活動をする生活

炊事、洗濯、清掃などを行う。

スポーツやレクレーションを行う。

「逃避的欲望、不安、葛藤」と「積極的に人と接し生活をよくしたい」の2つの欲望の相克に直面する。

葛藤時期は1週間以上続く。

その間に「生活をよくしたい(生の欲望)」を生かして生活することが習慣づけられる。

知らぬ間に不安や葛藤が存在しても、以前とは違った健康な日常生活が維持できる態度の形成。



第四期 社会生活準備期:

日常生活に戻れるよう社会生活の準備期間

病院から学校や会社へ通う。

上記の課程を1〜月3ヶ月程度行う。


森田正馬は神経質が「全治」した状態に対して「悟り」という言葉を用いており、その体験者として釈迦や白隠の名前を挙げています。

森田療法のやり方

森田療法の目標

森田療法の治療の目標は、あるがままです。

あるがままの自然な感情、それが不快なものであろうとなかろうと、ありのままに受け入れることです。

そのありのままの人生の中に、生きる生命力を感じ、現実の生活の中で、行動的に発揮することです。

森田療法の目標

パニック障害

お友達にシェアする!

facebook  twitter  line

参考文献

薬なし、自分で治すパニック障害
(著)森下 克也
KADOKAWA
2014年03月27日発行

神経衰弱と強迫観念の根治法―森田療法を理解する必読の原典
(著)森田 正馬
白揚社
2008年10月01日発行

森田療法 関連外部リンク

森田療法とは
東京慈恵会医科大学 森田療法センター

関連外部リンク

Morita therapy for anxiety disorders in adults
National Library of Medicine

[Morita therapy--a Japanese method for treating neurotic anxiety syndrome]
National Library of Medicine

Morita therapy combined with psychotherapy for the relief of mental anxiety disorders in design workers
Cambridge University Press & Assessment