認知行動療法
英語
Cognitive behavioral therapy for panic disorder
認知行動療法
認知行動療法
Cognitive behavioral therapy(BTC)
認知行動療法は、認知療法と行動療法の2つの心理療法を一まとめにしたものです。
パニック障害の改善に有効な方法として知られています。
認知とは、思い込み、考え方、受け止め方、といったものです。
認知行動療法では、パニック障害を発症している方の認知に誤りがあるため、予期不安や広場恐怖症を引き起こしていると考えます。
患者さんの生活状況、考え方、行動パターンなどを考察し、パニック症状と関連する問題点となる思考パターンを見つけ、修正していく心理療法です。
患者さん特有の考え方の癖や歪みを修正し、心の問題を解決しようとするのが認知療法です。
その認知療法で修正された新しい認知をもとに、暴露療法等の行動療法で、行動の癖を修正して日常生活を改善していきます。
認知行動療法のやり方
例えば、ある患者さんが、美容院に行き、椅子に座りシートを巻かれると、不安と動悸のパニック発作を起こしたとします。
患者さんは何度か同じ経験を繰り返しているうちに、この美容院の椅子に座りシートに巻かれることが発作の原因であると考えるようになります。
「美容院でシートに巻かれた状態になるから発作を起こすんだ」と言う認知を形成します。
これにより、美容院で髪を切るのを避けるようになります。
しかしこれは誤った認知です。
もしこの認知が正しい認知であれば、美容院でシートに巻かれた状態により、全ての人が不安と動悸のパニック発作を発症しなければなりません。
実際にはそんな事はありません。
「美容院でシートに分かれた状態になるから発作が起きる」という認知には歪みが生じています。
認知行動療法において、患者さんがこの認知の歪みに気づくことがファーストステップになります。
「美容院でシートに分かれた状態になるから発作が起きる」と言う認知が誤っている事は、多くの患者さんが気づくことができます。
しかし、そのことに気づいたからといっても、すぐに美容院でシートにくるまり、座っていられるようになるわけではありません。
そこで認知行動療法では、この患者さんの恐れていることをさらに突き詰めていき、歪んだ認知により抱いている不安には、根拠がないという認識を植え付けます。
美容院でシートに包まれることの何が危険なのか→ただ首が軽くしめつけられるだけで何も危険な事は無い
美容院でシートに包まれると心臓が止まるのか→止まらない
美容院でシートに包まれて気絶したことがあるか→ない
このようにして、正しい認知の再確認を促し、その結果大丈夫、→絶対大丈夫
といった具合に正しい認知を強化していきます。
認知療法はここまでです。
認知行動療法で重要なことは、この正しい認知を実生活の中で実践できるかどうかです。
正しい認知に基づいた行動療法です。
患者さんは頭の中で理解できたとしても、実際の生活の中で行動できるようになるまでには訓練が必要です。
認知療法で学んだことを、問題となる状況で思い返すことができなければ、いつまでたっても「わかているにできません」となってしまいます。
実際に多くの方は問題となる状況になると、認知療法で学んだことを冷静に思い出すことよりも、「やっぱり発作が起こった!だめだ!怖い!めちゃめちゃ不安だ」と心の中で叫びまくってしまいます。
人間は、自ら発した言葉を繰り返し再認識することで認知を強化しています。
最初の「美容院でシートに巻かれた状態になるから発作を起こすんだ」という歪んだ認知を形成したように、「やっぱり発作が起こった!だめだ!怖い!めちゃめちゃ不安だ」という認識を強化します。
ではどうしたらいいのか、
嘘でもいいから、「美容院でシートに巻かれて座る事は危険でも何でもない」と、心の中でもいいから、つぶやき続けることです。
何度も何度も繰り返し、実感があろうがなかろうが、それでも続けているうちに、それが新しい認識として強化されていきます。
「美容院でシートに巻かれて座る事は危険でも何でもない」「美容院でシートに巻かれて座る事は危険でも何でもない」
と言いながら、美容院に髪を切りに行くことを繰り返し実践します。
パニック障害から解放されるには、このような練習を地道に一生懸命繰り返していくことが必要不可欠です。
認知行動療法尺度
アジェンダの設定と追随
フィードバック
コラボレーション
ペース配分と時間の効果的利用
対人的効果
適切な感情表現の引き出し
鍵となる認知の引き出し
行動を引き出して計画する
誘導による発見
概念的統合
変化の技法の応用
ホームワーク
Psychometric properties Behavior Cognition psychotherapy 29 : 431 to 446, 2001
認知行動療法のタイムフロー
アセスメント(評価と診断) 1〜3回
構造化面接、症状評価尺度、心理教育
セッション12〜16回(毎週1回50分程度)
最アセスメント(再評価と診断)
経過観察、1、3、6ヶ月後などでセッション
認知行動療法のセッション(約50分)
最初
前回の復習とアジェンダの設定
中間
アジェンダを解決するための技法を1つ練習
まとめ
セッションの中間で学んだ技法をホームワークとして、全体を振り返りながら、まとめとして意見交換を行う
認知行動療法のセッションの進歩の段階
①Assess
悪循環をもたらしている考え方を知る
②Share
悪循環をもたらしている考え方の共有
③Weaken believe
悪循環をもたらしている考え方を弱める
④Attack a belief
悪循環をもたらしている考え方にチャレンジする
⑤Strengthen alternative belief
好循環をもたらす新しく健全な考え方を強化する
パニック障害
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参考文献
薬なし、自分で治すパニック障害
(著)森下 克也
KADOKAWA
2014年03月27日発行
認知行動SST 上巻:基礎・実践ガイド編
(著)エリック・グランホルム,ジョン・マッケイド,その他
星和書店
2019年06月28日発行
認知行動療法 関連外部リンク
うつ病の認知行動療法専門外来
Hamamatsu University School of Medicine
関連外部リンク
Cognitive-behavioral therapy for anxiety disorders
National Library of Medicine
Cognitive Behavioral Therapy for Panic Disorder
Society of Clinical Psychology
CBT for Panic Disorder: How It Works & What to Expect
Choosing Therapy