肺虚脱
Lung collapse
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肺がんの医学
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肺虚脱
肺は膨らんだ風船に例えられることがあります。肺の誇張が維持されない場合、肺の脱力を引き起こしてしまうからです。
肺の陰圧の原理
風船の空気を入れるヒダを外に出したまま、風船の膨らむ方だけを口に入れて、唇をすぼめて風船の体部を吸い込むと、口の中は陰圧になるので風船は口の中で膨らみます。
これと同じ原理で、
正常の肺では、肺の臓側胸膜と壁側胸膜の間で表面張力が働き胸膜液により、肺の膨らみが維持されています。
肺の陰圧
肺の弾性収縮は胸膜腔の圧力を大気圧よりも低く保ちます。(約−2mmHg、吸気時には約−8mmHg)
肺の裂孔
胸郭や肺に孔があくと、陰圧により空気は胸膜腔内に引き込まれます。
臓側胸膜と壁側胸膜を結合させている表面張力は壊れてしまい、肺は虚脱を起こすので、肺内の多くの空気は排出されてしまいます。
肺は虚脱では呼吸がうまくできなくなってしまいます。
ただ、左右の胸膜腔は連続していないので、1つの肺が虚脱を起こしても、もう一方は虚脱にはならないのが一般的です。
出血や空気の流入
肺の表面の裂傷あるいは破裂、または胸壁の穿通により、出血や胸膜腔への空気の流入が生じます。
肺虚脱のX 線像
肺の虚脱は、X線画像で、通常よりも横隔膜の位置が上にみえたり、縦隔の位置が患側に偏位したりすれば疑います。
虚脱した肺は、周りのX線透過性が高い空気よりも濃い状態(白い状態)として映ります。
手術時の呼吸
開胸術をする場合、陽圧ポンプを使い、気管内挿管を介して圧力の変動によって肺の膨張と収縮を変化させながら行います。
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参考文献
グレイ解剖学 原著第4版
Richard L.Drake (著)
A.Wayne Vogl (著)
エルゼビア・ジャパン株式会社
第4版 2019
関連リンク
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