肺がんの手術
Lung cancer surgery
もくじ
執筆者
肺がんの手術
後側方開胸法
肺がんの開胸手術は開胸法が主な方法です。
肺がんの開胸手術は後側方開胸法で、背中から肋骨に沿って胸の方に5センチ前後切開します。
胸腔鏡補助下手術といって胸腔鏡を使用して手術が行われる場合もあります。
手術で胸を開いた後、肺がんの原発巣を確認します。
癌の胸膜播腫(癌ごあちらこちらに散らばっている状態)、悪性胸水、リンパ節転移などを調べます。
手術は開胸してみないとわからないことが多いので、もしがんの進行が進んでいて、技術的に切除が不可能な場合は、そのまま開胸した部分を塞ぐことになります。
これは、手術を行う患者さんの約100人に1人に見られるという統計があります。
切除が可能な部分がある場合は切除します。
肺葉切除は肺動脈、肺静脈、気管支を切離して肺葉を切除します。
リンパ節郭清(かくせい)は病巣近くのリンパ節を摘出します。
閉胸は止血を確かめた後、血液や肺から漏れる空気を排出する胸腔ドレーンと呼ばれるチューブを設置して手術創を閉じ、手術を完了します。
『肺がんと診断されました。』手術できる肺がんとは?
公立学校共済組合 関東中央病院
気管支形成術
気管支形成術は、気管支の中枢部分に顔が侵されている場合に行われる手術です。
肺葉を切除したとき、気管支もリング状に切除して残った気管支同士をつなぎ合わせる方法です。
以前は背を全部摘出していたのですが、気管支形成術により肺機能を少しでも温存できるようになりました。
拡大手術
拡大手術は、癌の広がりが大きい場合に、肺や気管支だけでなく、周辺の臓器も一緒に切除する方法です。
切除する範囲が大きいのて、手術のリスクも高く、予後にも影響が大きい手術といえます。
縮小手術(区分切除、楔状切除)
縮小手術には、区分切除とくさび状切除(部分切除)があります。
肺の切除する部分をできるだけ狭い範囲にするための方法です。
非小細胞肺がんで、顔の大きさが2センチ以下の早期癌に適用される場合がありますが、標準治療ではないので、すべての病院で行っているわけではありません。
縮小手術は、手術後の呼吸器機能の低下が低くすむ、と言うメリットと、
切除した部位の近くにがんが再発する可能性が高いというデメリットがあります。
胸腔鏡手術
肺がんの手術には、胸を切開する開胸手術のほかに、胸腔鏡と呼ばれる内視鏡を使った胸腔鏡手術があります。
胸腔鏡手術は胸の数カ所に約2センチの穴を開けて胸腔鏡と手術器具を挿入しモニターに映る映像を見ながら手術をするものです。
胸腔鏡手術は体への負担が軽く、美容的にも手術痕が目立たない、と言うメリットがありますが、
①モニターを見ながらの高度な技術が必要
②モニターに映る範囲が狭く、がんの切除が十分にできずに、がんの転移や再発の可能性が高い
③手術中の出血への対応が困難
などのデメリットもあります。
レーザー照射治療
早期の肺門部の癌に対してレーザー照射治療、光線力学的療法(PDT)があります。
光線力学的療法は、早期の肺がんで、癌の大きさが1センチ以内、深さが気管支粘膜から3ミリ以内のものに適用されることがあります。
光に反応する光感受性物質を注射します。
光感受性物質はがん細胞のところに集まる性質があるため、この部分にレーザーを照射して癌を死滅させる原理です。
手術でわ開胸したり肺を切除することもないので、身体への負担は軽く済みます。
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参考文献
肺癌 (がん研スタイル 癌の標準手術)
奥村 栄 (編集) 文 敏景(編集協力)
メジカルビュー社 2019
肺がんの手術 関連リンク
区域切除について
国立がん研究センター 中央病院
Surgery for Non-Small Cell Lung Cancer
American Cancer Society, Inc.
Lung-Sparing Surgery Effective for Early-Stage Lung Cancer
National Cancer Institute