過敏性腸症候群の病院での治療
英語
Hospital treatment of irritable bowel syndrome
もくじ
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過敏性腸症候群の病院での治療
過敏性腸症候群の原因は不明です。病院での治療は基本的には対症療法の薬物治療です。
同時に生活習慣の改善、心理療法、漢方薬などが病院により併用されます。
生活習慣の改善
過敏性腸症候群はストレスや不安感、緊張感といった精神的な負担と深く関わっていると言われています。
したがって、そのような症状を作ってきたこれまでの生活習慣を見直すことで、心身にストレスがたまらないようにすることが重要だと言われています。
①食事、運動、睡眠などの生活リズムを整える。
②食事は決まった時間に栄養のバランスを考えていただく。
③趣味や休憩といった息抜きの時間を設ける。
など
薬物療法
過敏性腸症候群の薬物治療で病院で用いられる薬には大きく分けて、腸に作用する薬と、脳に作用する薬があります。
腸に作用する薬としては、腸の運動以上にもつながるセロトニンの働きを低下させて下痢を改善させることを目的とした、セロトニン3受容体拮抗薬が使われる事があります。
便を柔らかくして排便を促すことを目的とした粘膜上皮機能変容薬なども使われることがあります。
消化管運動機能調節薬や乳酸菌製剤、高分子重合体なども用いられることがあります。
脳に作用する薬として、抗うつ薬や抗不安薬が使われます。
心理療法
過敏性腸症候群の心理療法をしては、他のパニック障害や躁鬱病等と同様に、緊張と弛緩を繰り返してリラックス効果を目的とする筋弛緩法、催眠状態を利用する催眠療法、思い込みを是正する認知行動療法などが行われます。
漢方薬
過敏性腸症候群の治療に使われる漢方薬には以下のものがあります。
桂枝加芍薬湯
(けいしかしゃくやくとう)
腹痛をともなう下痢や便秘、 および交替型の症状に用いられます。
桂枝加芍薬大黄湯
(けいしかしゃくやくだいおうとう)
便秘や腹痛が強く、体力が低下している人に用いられます。
半夏瀉心湯
(はんげしゃしんとう)
ふつうの体力の人で、下痢や便秘、または交替型の人に用いられます。
甘草瀉心湯
(かんぞうしゃしんとう)
下痢、便秘、交替型で、腹鳴やイライラ感、不安感、下痢の回数が多い方に用いられます。
真武湯
(しんぶとう)
虚証で疲労性の下痢、便秘、交替型で冷え症や疲れやすい人に用いられます。
人参湯
(にんじんとう)
腹痛、膨満、下痢が持続する場合に用いられます。
小建中湯
(しょうけんちゅうとう)
下痢、便秘を繰り返し、疲れやすく元気がない方に用いられます。
大建中湯
(だいけんちゅうとう)
虚証で、お腹が冷えて痛み、腸が動くのを感じるような症状に用いられます。
逍遥散
(しょうようさん)
腹痛、下痢、便秘、交替型で、便が細い、ウサギの糞のようなコロコロした便、残便感ある症状に用いられます。ストレスが強く、疲れると症状が出やすい方に用いられます。
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参考文献
慢性便秘・ガス腹・過敏性腸症候群 便秘外来と腸の名医が教える最高の治し方大全 聞きたくても聞けなかった124問に専門医が本音で回答!
三輪洋人,中島淳,小林弘幸,三原弘,小林暁子 (著)
文響社
2021/6/3 発売
過敏性腸症候群の病院での治療 (IBS) 関連外部リンク
過敏性腸症候群(IBS)の患者さんへ
東京大学医学部附属病院 心療内科
Irritable Bowel Syndrome Treatment
The Johns Hopkins University
Treatment for Irritable Bowel Syndrome
NIDDK