慢性疲労症候群の診断
英語
Diagnosis of chronic fatigue syndrome
慢性疲労症候群の診断
CFS : 1994年に米国疾病管理予防センター(CDC)により診断基準が発表され、2003 年精神疾患を除外して改訂されました。
2007年には日本疲労学会から提唱された診断指針があります。
慢性疲労症候群の診断指針
6ヶ月以上持続する原因不明の全身倦怠感を訴える患者が下記の前提I,II,IIIを満たしたとき、臨床的に慢性疲労症候群が疑われる。
されに確定診断を得るためには、感染・免疫系検査・神経・内分泌・代謝系検査を行うことが望ましい。現在のところCFSに特異的な検査異常はなく、臨床的なCFSをもって「慢性疲労症候群」と診断する。
前提I
病歴、身体診察、臨床検査を正確に行い、慢性疲労をきたす疾患を除外する。
ただし、抗アレルギー薬などの長期服用者とBMIが40を超える肥満者に対しては、当該病態が改善し、慢性疲労との因果関係が明確になるまで, CFSの診断を保留し経過観察する。
また、気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除いたもの)、不安障害、身体表現性障害、線維筋痛症は、併存疾患として扱う。
前提Ⅱ
「前提I」の検索によっても慢性疲労の原因が不明で、以下の4項目を満たす。
1)この全身倦怠感は新しく発症したものであり、急激にはじまった。
2)十分休養をとっても回復しない。
3)現在の仕事や、生活習慣のせいではない。
4)日常の生活活動が発症前に比べて50%以下になっている。 あるいは疲労感のため、月に数日は社会活動や仕事ができす休んでいる。
前提Ⅲ
以下の自覚症状と他覚的所見の10項目のうち、5項目以上を認める場合。
1)労作後の疲労感 (労作後に休んでも24時間以上続くもの)
2)筋肉痛
3)多発性関節痛(腫脹はない)
4)頭痛
5)咽頭痛
6)睡眠障害(不眠、過眠、睡眠相遅延)
7)思考カ・集中力低下
8)微熱
9)頸部のリンパ節の腫脹(明らかに病的な腫脹と考えられる)
10)筋力低下
8) 、9) 、10)の他覚的所見は、担当医師が少なくとも1カ月以上の間隔をおいて、2回認める
注意事項:
うつ病の扱いについて、これまでの診断基準では「心身症、神経症、反応性うつ病などは慢性疲労症候群発症に先行して発症した症例は除外するが、同時または後に発現した例は除外しない」とされていた。
新診断の指針では、この規定が削除され、発症時期の判定は不要となった。
具体的に、双極性障害と精神病性うつ病は除外する。心身症、神経症、反応性うつ病などは、発症の時期にかかわらず、CFSとの併存を認める。
また, 特発性慢性疲労(idiopathic chronic fatigue:ICF)という疾患概念が提唱された。
特発性慢性疲労とは、CFSとは診断できないが、慢性疲労の病態は認められるもので、今後、CFSに移行するかもしれない状態である。
(日本疲労学会、2007) 文献5から引用・編集
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参考文献
専門医が教える 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)診療の手引き
倉恒弘彦(一般社団法人日本疲労学会 理事)/松本美富士(一般社団法人日本線維筋痛症学会 理事)編著
日本医事新報社
2019/10/11 発売
慢性疲労症候群 関連外部リンク
Symptoms and Diagnosis of ME/CFS
U.S. Department of Health & Human Services
Chronic Fatigue Syndrome: Diagnosis and Treatment
American Academy of Family Physicians.
Chronic Fatigue Syndrome
National Library of Medicine