胆嚢がん
執筆者
胆嚢がん
<胆嚢癌の概念>
胆嚢癌は胆嚢から発生する悪性の腫瘍(がん)です。胆嚢癌は胆嚢の内側の内腔の上皮という部分より発生します。多くは腺癌で早期に発見されることが少ないです。
総胆管に発生した悪性腫瘍を総胆管癌といいます。
<胆嚢癌の疫学>
胆嚢癌60~70代に多く、男女比は1:2~5と女性に多いです。2006年の胆嚢癌および肝内胆管を除く胆道癌(胆管癌、乳頭部癌)による死者は16,855人(男7,942人、女8,913人)でした。
約8割の症例に胆石がみられます。
胆嚢癌の発症率はハンガリー共和国、チリ共和国、日本で高いです。
<胆嚢癌の成因・病態生理>
胆石が合併する率が高い(約80%)です。新潟大学らの研究グループによるハンガリー共和国、チリ共和国、日本での胆嚢癌疫学的調査の結果。
1.チリにおいて胆石存在下で赤唐辛子摂取が胆嚢癌の危険因子であることが示唆されたが、「カプサイシンが原因となっているのか」「保存中に発生するカビ由来のアフラトキシンが原因か」など真の原因物質は明らかではありません。
2.新潟県における胆嚢がん死亡率と農薬使用量との間に正の地域相関関係が認めらる。水道水中に残留していた水田除草剤(クロルニトロフェン)の曝露が関与。(クロルニトロフェンは1996年に農薬としての登録失効)
3.胆嚢癌疾病感受性には民族的共通性が示唆。(HLAハプロタイプの分析)
<胆嚢癌の症状>
胆嚢癌は初期症状がほとんどありません。胆石症などで偶然発見されることが多いです。
胆石による症状がみられるばあいがあります。
進行胆嚢癌になると、悪心、嘔吐、黄疸、右季肋部痛、食欲不振、全身倦怠感、体重減少などが出現します。
検診で胆道系酵素(ALP, γ-GTPなど)の異常値を指摘され胆嚢癌が発見されることもあります。
胆道癌の取扱い規約による進行度の分類(第5版)
Stage I
癌が粘膜部や筋層部にとどまる。
Stage II
癌が筋層部を超えるものの、壁内にはとどまっている、もしくは、筋層までにとどまるが、近傍のリンパ節には転移がある。
Stage III
癌が胆嚢の外へ露出する、もしくは、壁内にはとどまるが、やや遠方のリンパ節までの転移がある。
Stage IVa
隣接の臓器に直接的に浸潤する、もしくは大動脈の周囲リンパ節など、遠方のリンパ節に転移が及んでいる。
Stage IVb
遠隔の臓器へ転移。
<胆嚢癌の一般的な治療>
早期胆嚢癌は外科的切除がおこなわれています。進行胆嚢癌に対しては、外科的切除、化学療法(抗がん剤)、放射線療法がおこなわれています。
<胆嚢癌の予後>
早期胆嚢癌は切除されれば予後は良好です。
Stage III以降の胆嚢癌の予後は不良です。
胆
胆は、決断や勇気をつかさどる。
胆は、身体の中央に鎮座して、全身の重心となります。そして、公平中立の立場で、落ち着いて、他の臓腑の活動状況を視察し、大所高所から、その適否の決断に任ずる器官です。
胆 東洋医学
足の少陽胆経
The Gallbladder Meridian of Foot-Shaoyang
(胆経鍼灸経穴、acupuncture point Gall Bladder 44)
胆嚢癌の鍼灸、整体、マッサージ
臨床で使用する経穴(ツボ)の例:
京門(けいもん)、日月(じつげつ)、帶脉(たいみゃく)、五樞(ごすう)など。
足の 足三里(あしさんり)、足臨泣 (あしりんきゅう)など。
※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。
お友達にシェアする!
参考文献・引用
膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン 2019年
日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS)膵・消化管神経内分泌腫瘍診療ガイドライン第2版作成委員会 (編集)
金原出版; 第2版
2019/9/27 発売
胆嚢癌 関連外部リンク
Gallbladder Cancer Treatment (PDQ®)–Patient Version
NCI
Gallbladder cancer
NHS
What Is Gallbladder Cancer? | Gall Bladder Cancer Types
American Cancer Society, Inc.