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心身症の東洋医学 |
心身症の東洋医学
「怒は肝を傷り、喜は心を傷り」(素問:陰陽応象大論篇)
怒・喜・思・憂・恐の五情に変調があれば、特定の臓器に障害をもたらす病因となる。
その逆もまた然り。
つまり「心の状態が体を壊し、体の乱れが心に影響する」—これが心身一如の基本である。
★■五情と五臓の対応
情志(感情) | 対応臓 | 影響する症状例 |
---|---|---|
怒(いかり) | 肝 | 頭痛・肩こり・めまい・月経不順 |
喜(よろこび) | 心 | 動悸・不眠・気分の浮き沈み |
思(かんがえすぎ) | 脾 | 胃もたれ・疲労感・集中力低下 |
憂(うれい) | 肺 | 息切れ・ため息・肌の乾燥 |
恐(おそれ) | 腎 | 頻尿・腰痛・不安感・健忘 |
★■心身症とは「心と体のズレ」
心と体はつながっている。しかし東洋医学では、それがズレた時に病が生じると考える。
例えば:
・仕事はこなせているが、食欲がない → 脾と心の不調和
・感情を抑えて生きてきたが、突然パニックに → 肝と肺の逆行
このズレを整えることが、真の“心身治療”である。
★■鍼灸による心身症へのアプローチ
情志のアンバランスは、経絡や気の流れを乱すため、「気機の調整」がカギとなる。
以下は情志・心身安定に用いられる代表的な経穴。
- 神門(しんもん):心神安定・不眠・動悸
- 太衝(たいしょう):肝の疏泄を助け怒りを和らげる
- 内関(ないかん):胸中の詰まり・感情の抑圧に
- 三陰交(さんいんこう):内分泌と感情のバランスに
★■感情は「病因」であり「治癒の鍵」でもある
感情に支配されると病となるが、感情に気づき、受け止め、調和することで病は癒える。
東洋医学における心身症とは、感情の“未消化”が臓腑の機能を歪めた結果であり、心の動きを体で整えるという発想が求められる。
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