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経絡・経穴(ツボ)

内庭(ないてい)

心火を静め、胃熱を降ろす“内なる調和の場”

現代人の食と情報の過多、そして情緒の高ぶりに静かなブレーキをかけてくれるツボ。

**「外の世界に消耗しすぎたとき、静けさに還る場所」**としての価値を持っています。

英語
Stomach(ST)44
Neiting(Inner Court)

内庭(ないてい)(滎水穴)

足の陽明胃経44
The Stomach Meridian of Foot Yangming

内庭
ないてい
naitei

取穴部位
足背、第2・第3足指の間の水かき部分を足先方向に進んだ、指の骨の間の陥凹部。
軽く足の指を開くとくぼみが確認でき、そこにスッと指が入る場所。

筋肉
第2背側骨間筋

運動神経
外側足底神経

知覚神経
浅腓骨神経

血管
第2背側中足動脈の枝

足の陽明胃経

主治
・歯痛、口内炎、胃熱による口渇・口臭
・顔面紅潮、鼻血、三叉神経痛など「上熱」による症状
・食欲異常、胃のむかつき、腸の張り
・精神的緊張からくる不眠や焦り、情緒不安定

中医学的解釈
・内庭は足陽明胃経の滎水穴であり、陰陽の転換点。過剰な陽(=熱)を冷まし、静けさへと導く働きがある。
・胃経にたまった余分な熱や毒素が「頭部や口腔に上る」症状に対し、**熱を冷まし、火を鎮める“清熱”の要穴**として重要。

名前の由来(オリジナル解釈)
・「内」は内面、深層、「庭」は落ち着き、静寂、調和を象徴する言葉。
・すなわち**「内なる静けさの庭」**という意味であり、外界の刺激に振り回された心身を落ち着かせる“内なる場所”を意味する。
・実際にこのツボを刺激すると、**思考の暴走や神経の興奮が緩やかになり、呼吸が深くなる**のを感じることもある。

精神的・エネルギー的な側面
・怒りや興奮が抑えきれないとき、深夜に目が冴えて眠れないとき、「静かな自分に還る」スイッチとなる。
・また、**過剰な情報・食物・思考を“消化しきれずに溜め込んだ”人**にとって、解放の鍵となるポイント。

臨床応用
・急性の歯痛や歯茎の腫れには、このツボを指圧や刺針で**即効的に使用**できる(特に片側に限定して使うと左右差も調整可能)。
・胃熱に由来する口臭や食欲異常には、**内庭と足三里の組み合わせ**が効果的。
・緊張型の不眠には、内庭に灸を行うと「神の落ち着き」が得られるとされている。

セルフケアのすすめ
・寝る前、深呼吸をしながら内庭を3〜5秒かけてゆっくり指圧する。
・**足から“火の気”を抜くイメージ**で、熱を頭から足へ流し、落ち着いた眠りへ誘う習慣に。
・便秘や口の渇きがあるとき、ここを刺激することで胃腸の熱を整えるサポートになる。

注意点
・敏感な人は強い刺激でかえって不快になることがあるため、**やさしく、繊細に扱うことが肝要。**
・食後すぐの過度な刺激は避け、リラックス時に行うと効果が高まる。

→厲兌(れいだ)

←陥谷(かんこく)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

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