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経絡・経穴(ツボ)

豐隆(ほうりゅう)

“痰”を抜いて、魂を再起動する開放点

目には見えない“重さ”や“澱み”を感じるときに

豐隆は「心と身体を再び軽やかにする道筋」を教えてくれます

英語
Stomach(ST)40
Fenglong(Beautiful Bulge)

豐隆(ほうりゅう)(絡穴)

足の陽明胃経40
The Stomach Meridian of Foot Yangming

豐隆
ほうりゅう
horyu

取穴部位
外果(外くるぶし)から8寸上。
条口穴の外側、腓骨の前にある陥凹部に取る。
押すと軽い圧痛があり、皮膚の柔らかさが特徴的。

筋肉
前脛骨筋、長指伸筋

運動神経
深腓骨神経(L4〜S1)

知覚神経
外側腓腹皮神経(L4〜S2)

血管
前脛骨動脈

足の陽明胃経

主治
・痰湿による咳、喘息、胸苦しさ
・めまい、頭の重だるさ
・下肢のむくみ、こわばり、神経痛
・うつ症状、不安、パニック傾向の緩和
・消化器系の不調(胃のつかえ、食欲不振)

中医学的解釈
・豐隆は胃経の絡穴であり、全身に「痰湿(たんしつ)」が停滞した状態に最も効果を発揮する。
・“痰”とは単なる痰だけでなく、心神を曇らせる霧のような存在。
・つまり、**肉体の痰だけでなく「心の痰」も掃き出すツボ**である。
・陽明経の特性として、氣血が旺盛で全身に巡る力が強いため、
 豐隆を使うことで精神的なモヤモヤ・倦怠感・不透明感が抜けてくる。

名前の由来(オリジナル解釈)
・「豐」は実り・豊かさ、「隆」は盛り上がる・隆起の意。
 すなわち、「氣が満ち、魂が盛り上がる場所」。
・これは単なる身体的痰の排出点ではなく、
 **「精神の停滞を打ち破るエネルギーポンプ」**という位置づけで理解できる。

精神的・スピリチュアルな側面
・思考がグルグル巡り、抜け出せない人の「思考の痰」へ。
・「本当はこうしたいのに動けない」という自己矛盾・未消化感を和らげる。
・感情を“吐き出す”ことで、**内側のスペースに新しい氣が満ちる。**
・言葉にできない不安や抑圧を溶かし、再出発のきっかけを与えてくれる。

現代的応用と臨床活用
・自律神経の乱れからくる「喉の詰まり」「胸の圧迫感」に対して、
 豐隆を遠隔から使うことで、神経系の“中継点”として作用。
・頭部の痰濁(めまい・耳鳴り・ふらつき)にも有効。
・うつ状態で「頭がぼーっとしている」と訴える人に対し、
 足元から氣の滞りを抜くように豐隆を活用する。

セルフケアのすすめ
・不安なとき、胸の奥が重苦しいときに豐隆をゆっくりと押圧する。
・口に出せない悩みがあるとき、深呼吸とともに意識を豐隆に向けることで、
 「身体を通じて感情を流す」体験が得られる。

注意点
・過度な刺激は氣を消耗させることもあるため、深圧ではなく呼吸と連動させた圧が効果的。
・冷え性体質の方には、温灸やお灸との併用がより推奨される。

→解谿(かいけい)

←下巨虚(げこきょ)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

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