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経絡・経穴(ツボ)

伏兎(ふくと)

動かぬ時間に力をためる“内なる跳躍”の準備地

動きの前に、立ち止まって力を蓄える場所

外に出すより、内にこもるエネルギーに意味がある

伏兎は、「静かなる決意」が育まれるツボ

英語
Stomach(ST)32
Futu(Crouching Rabbit)

伏兎(ふくと)

足の陽明胃経32
The Stomach Meridian of Foot Yangming

伏兎
ふくと
fukuto

取穴部位
大腿部の前外側で、膝蓋骨外上角から髀関穴に向かって上6寸の位置。
太腿をまっすぐ伸ばした状態で触れると、筋肉の盛り上がりに位置する。
特に立位で大腿四頭筋に力を入れると、突起する部分に取りやすい。

筋肉
大腿直筋、外側広筋

運動神経
大腿神経

知覚神経
外側大腿皮神経、大腿神経前皮枝

血管
外側大腿回旋動脈

足の陽明胃経

主治
・太腿の痛み、張り、しびれ(筋膜性疼痛症候群・スポーツ障害)
・膝関節の動作異常(屈伸困難、膝蓋骨の不安定感)
・下肢全体の倦怠感、筋力低下、冷え感
・坐骨神経痛(特に大腿前外側の走行に沿う放散痛)
・下肢の麻痺(脳卒中後遺症など)や歩行障害

名前の由来(オリジナル解釈)
「伏」とは、身を伏せる・うずくまるという意味。
「兎」は、素早く跳ねる小動物であり、筋肉の緊張や敏捷性の象徴でもある。
「伏兎」とは、**“動く前に一瞬静止し、力をため込む場所”**という意義を持つ。

この部位は、跳躍・ダッシュなど「瞬発的動作」のエネルギー源となるため、
中医学的には「陽気が凝縮する跳動の予備場」とされる。

中医学的意義
・陽明胃経の中でも特に「筋肉の実(じつ)」が現れやすい経穴。
・脾胃が弱く、筋肉が柔らかく痩せている人に対して、
 **“気血を肉に変える力”**を補う作用がある。
・「陽虚による筋力低下」「湿邪の停滞による重だるさ」などに適応。

臨床応用メモ
・スポーツ障害(特にジャンプやキックを伴う競技)の予防・回復に。
・「伏兎+梁丘+陽陵泉」で、膝外側ラインの柔軟性改善に活用。
・慢性的な大腿のしびれや血流障害にも対応(伏兎は外側広筋を貫くため)。
・神経障害性疼痛には、局所刺鍼+低周波鍼通電が効果的。

心理的・エネルギー的側面(オリジナル視点)
伏兎は、“力を秘める”ことを象徴するツボ。
目立たず、静かに、しかし着実にエネルギーを蓄え、
**「ここぞという時に発動できる精神力」**を整える役割がある。

・無理に動き続けて疲弊している人
・目標があるのに、エネルギーが湧かず準備ができない人
・心が焦って身体が動かない「内なるブレーキ状態」の人

――そうした人にとって、伏兎へのケアは
**「焦らず力を養う時間があってよい」**という内面の許可になる。

セルフケア活用法
・椅子に座り、太腿の中央より少し外側を手指で軽く圧迫。
・押して「ズーン」と響く感覚があれば、その位置を中心にお灸・温熱。
・軽く揉みほぐすだけでも、太腿の軽さや安定感が生まれることが多い。

注意点
・深部には神経・血管が走行しているため、深刺しには注意。
・筋肉の硬結が強い場合、軽度の圧刺激でも強い反応が出ることがある。
・妊娠中や術後早期など、激しい刺激は避ける。

→陰市(いんし)

←髀関(ひかん)

→足の太陰脾経

←手の陽明大腸経

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