![]() |
承満(しょうまん) |

気・食・感情の「受け過ぎ」が“満ちてあふれている”状態を象徴する経穴
胃腸のつかえやストレス性の膨満感、みぞおちの圧迫感に有効
精神的な滞りや過去の感情の澱が溜まりやすいポイント
「流す」「解きほぐす」ことを助ける重要な気の通過点
英語
Stomach(ST)20
Chengman(Assuming Fullness)
承満(しょうまん)
足の陽明胃経20
The Stomach Meridian of Foot Yangming
承満
しょうまん
Shoman
取穴部位
天枢(へその外2寸)の上5寸、すなわち上脘(みぞおちの下)の外2寸に位置する。
臍上部で、腹直筋の外側縁に沿ったライン上。皮膚の張り・圧痛・冷感なども参考に取穴する。
筋肉
腹直筋
運動神経
肋間神経(T7〜T9)
知覚神経
肋間神経前皮枝
血管
上腹壁動脈、肋間動脈

主治
・胃の膨満感、呑酸、食欲不振、消化不良
・心下部の圧迫感や重苦しさ(胸脇苦満)
・機能性ディスペプシア(機能的胃もたれ)
・げっぷ、胃痛、胃下垂、逆流性食道炎症状
・ストレス性の食欲異常(過食・拒食)
名前の由来(オリジナル解釈)
「承」は「受ける」、「満」は「満ちる、ふくれる」こと。
つまり、**「受けたものが満ちすぎて苦しくなっている状態」**を表す名称と捉えることができる。
これは単なる“食べ過ぎ”という物理的な意味だけでなく、
**感情や思考、ストレスなど、心の内圧が高まって膨張した状態**も含意している。
東洋医学的な象徴性
・中焦(胃〜脾)において「納気」と「運化」がうまくいかず、“気がつかえている”
・ストレス過多により、**肝木が脾土を剋すパターン**(肝脾不和)によく見られる所見
・このツボは、**「詰まり」や「つかえ」をゆるめ、再び流れを作る節目のような存在**
臨床応用メモ
・「お腹が張って苦しいけれど出ない」「食べたくないけどお腹が空く」といった
矛盾した胃腸症状に対して有効(脾胃の昇降失調に着目)
・「過去の後悔や怒りがみぞおちにこもっている」という訴えに対しても、
**心理的デトックスの導引点**としての活用が可能
・組み合わせ例:**太衝(肝)+承満(胃)+中脘(任脈)**で肝脾調整や自律神経緩和に
セルフケア的活用
・便秘や胃のむかつき、イライラが続いているとき、
この部位を**お灸または温灸でじんわり温める**と胃腸が動き出すことがある
・呼吸が浅く、みぞおちが硬く感じられる人には、**手のひらで数分間この部位を覆い、腹式呼吸**を繰り返すこともおすすめ
注意点
・食後すぐは避ける。消化管の過緊張や腸閉塞などの病態が疑われる場合も慎重に扱うこと。
・妊婦には深刺を避け、軽い接触または温熱法にとどめる。
→梁門(りょうもん)
←不容(ふよう)
→足の太陰脾経
←手の陽明大腸経
関連記事
