HOME | 経絡・経穴(ツボ) | 手の太陽小腸経 | 肩貞(けんてい)

経絡・経穴(ツボ)

肩貞(けんてい)

「心の荷物をそっと降ろし、本来の姿勢に戻る場所」

人生の中で“無理して背負ってきたもの”が肩に現れます。

肩貞は、その静かな“卒業式”を迎える経穴です。

今、もう一度「自分の歩幅」で進むために。

英語
Small Intestine(SI)9
Jian Zhen(True Shoulder)

肩貞(けんてい)

手の太陽小腸経9
The Small Intestine Meridian of Hand-Taiyang

肩貞
けんてい
kentei

取穴部位
腋窩横紋の後端から約1寸上方。
腕をやや外転させたとき、肩の後ろ側に生じるくぼみに取る。
触診では、小円筋と大円筋の間の軟らかい部分にある。

筋肉
小円筋、大円筋、広背筋(深部)

運動神経
腋窩神経、肩甲下神経

知覚神経
上外側上腕皮神経

血管
後上腕回旋動脈、肩甲上動脈、肩甲回旋動脈

手の太陽小腸経

主治
・肩関節周囲炎、五十肩、上腕の重だるさや運動制限
・腋窩部や肩甲骨まわりの痛み・こわばり
・腕の挙上困難や筋力低下
・上肢の麻痺、末端冷え、運動後の疲労感
・ストレスからくる“肩の荷”の感覚、自己否定感による姿勢の崩れ

名前の由来(オリジナル解釈)
「肩」はそのまま肩関節を示し、「貞」とは中庸・正しさ・誠実を表す言葉。
すなわち肩貞とは、「肩に宿る“まっすぐさ”や“誠実さ”を正す場」である。

このツボは、長年の頑固な疲労や習慣によって
“前傾姿勢”や“怒りを飲み込んだ緊張”が染みついた肩を、本来の位置へと戻す。
言い換えれば、「人生をまっすぐ背負い直すための、原点回帰のポイント」

中医学的意義
・小腸経の経脈上にあり、腕と肩の連携を回復させる重要な経穴。
・特に「経絡の滞り」から生じる、筋肉のこわばりや違和感に有効。
・また、感情的な負担が肩に現れるタイプのストレスに適応。

現代的応用と象徴的意味
・「人の期待を背負いすぎて、自分を見失っている」状態のとき、
 肩貞は“静かに荷物を下ろす”きっかけを与える。

・このツボを押しながら深呼吸することで、
 無意識に抱え込んでいたプレッシャーや
 “○○しなければならない”という思考が少しずつほどけていく。

セルフケアのヒント
・PC作業やスマホで肩が内巻きになっている現代人にとって、
 肩貞は“胸を開く鍵穴”のような存在。
・円背や巻き肩が気になる方は、肩貞を軽く押しながら腕をゆっくり外旋させると、
 肩甲骨がスムーズに動き出す感覚を得られる。

注意点
・深部に血管と神経が密集しているため、刺鍼時は角度と深度に注意を要する。
・強刺激は避け、浅く柔らかなアプローチが推奨される。

→臑兪(じゅゆ)

←小海(しょうかい)

→足の太陽膀胱経

←手の少陰心経

関連記事

小腸 東洋医学