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経絡・経穴(ツボ)

前谷(ぜんこく)

「声になる前の静けさに、心の真実が宿る場所」

前谷は、まだ言葉にもならない、

「どうしたらいいか分からないけれど、何かおかしい」

という**心の小さな“さざ波”**に気づかせてくれるツボです。

日々の中で、何かが詰まっていると感じたとき。

それが“心の奥で流れ始めた水”の合図かもしれません。

前谷にそっと触れてみてください。

その静けさが、あなたの心をやさしく洗い流してくれるかもしれません。

英語
Small Intestine(SI)2
Qian Gu(Front Valley)

前谷(ぜんこく)(榮水穴)

手の太陽小腸経2
The Small Intestine Meridian of Hand-Taiyang

前谷
ぜんこく
zenkoku

取穴部位
第5中手指節関節(MP関節)の直下、尺側の陥凹部。
小指を軽く曲げたとき、皮膚の自然な落ち込みが確認できる箇所。
関節と関節の間に流れる「谷間の水」のような静かな位置にある。

筋肉
短掌筋腱の一部付着部に近接し、手のひらを内転する筋膜に接している。

運動神経
直接的な運動支配はないが、小指の運動に伴って機能的に関与。

知覚神経
尺骨神経浅枝(第5指掌側)

血管
尺骨動脈の枝(掌側の第5指動脈の分枝)

手の太陽小腸経

主治
・咽喉の腫痛、口内炎、舌の腫脹(特に熱を帯びた状態)
・目の充血、涙目、結膜炎など目の“余熱”を排出する目的
・耳鳴り、難聴、外耳炎など耳のトラブル(心火の小腸経伝導による)
・精神的な焦燥感、興奮、不安、落ち着きのなさなどの“心火上炎”
・手指のしびれ、こわばり、特に小指と薬指の運動障害や痛み

名前の由来(オリジナル解釈)
「前」は“先に進む”“未だ顕れぬ未来”、「谷」は“落ち着いた凹み・水が集まる場所”を意味する。
つまり**「前谷」とは、“心の奥深くに湧き出す前の、静寂の源泉”**。
少沢(井穴)が“湧き口”であるのに対し、前谷は“その源流が最初に広がり始める場所”。
感情や思考が表出する前の、微細な揺らぎや葛藤が集まる“心の谷”である。

中医学的意義
・榮水穴に属し、経水の流れが生まれ始めたばかりの“潤い”の位置。
・心の熱が小腸経に伝わって現れる咽頭・口腔・耳の症状に対し、
 その“火”を冷ます“水の精”として働く。
・“火が強すぎて自分の声が出ない”時、前谷は言葉にできない心の熱を吸収し、
 静かな理解を生み出す補助となる。

現代的応用・象徴的意義
・人間関係で「言葉にできないけれど、何かがつっかえている」とき、
 前谷はその微細な不調和を感知し、整える作用を持つとされる。
・声が震える、うまく話せない、息が浅い時など、心の“表現力”の滞りに寄り添うツボ。
・パソコン作業やスマホの多用で、手指の“余熱”や緊張が溜まりやすい現代において、
 前谷は精神と肉体の“最初のズレ”を整える静かなリセットポイントともいえる。

セルフケアのヒント
・小指のMP関節の内側を、息を吐きながら静かに押圧。
 まるで“湧き水の音に耳を澄ます”ような心で行うと、
 喉の詰まりや心の焦りがゆるんでいく感覚が得られることがある。
・寝る前にこの場所を温めることで、夢に現れる“心の言葉”が鮮明になるという声も。

注意点
・熱証によく使われるが、冷え性の方への過度な刺激は避け、穏やかな施術を。
・心とつながるため、心拍や情緒が不安定な時は静かな環境で使用すること。

→後谿(こうけい)

←少沢(しょうたく)

→足の太陽膀胱経

←手の少陰心経

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