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涌泉(ゆうせん) |
涌泉 ——「大地の底から湧き上がる、命の始まりの一滴」
足裏の一滴に、すべての命の音が宿る。
ここから、また歩き出すことができる。
英語
Kidney(KI)1
Yongquan(Gushing Spring)
涌泉(ゆうせん)(井木穴)
足の少陰腎経1
The Kidney Meridian of Foot-Shaoyin
涌泉
ゆうせん
yusen
取穴部位
足底(足の裏)で、足指を軽く曲げると現れる最も深い陥凹部。
足底中央よりやや前方、足底腱膜が張る起点で、
“地と最初に接する命の泉”とも呼ばれる。
筋肉
足底腱膜、短趾屈筋
運動神経
内側足底神経(脛骨神経の枝)
知覚神経
内側足底神経
血管
足底動脈弓の枝(内側足底動脈)

主治(臨床応用)
・意識障害、昏睡(応急として用いることあり)
・高血圧による頭部充血、不眠、のぼせ、イライラ
・慢性的な疲労感、冷え性、虚弱体質、老化による衰え
・足裏の痛み、足のほてり、足裏のしびれ
・多汗症(特に足の裏)、夜間頻尿、遺精、不安感、気力低下
名前の由来(オリジナル解釈)
「涌泉」とは、**“泉が湧き出る場所”**という意味。
このツボは腎経の最初のポイントであり、
**命の水=腎の気が地下から湧き出す源泉**を象徴している。
▶ 足裏という最も地に近い場所にあるこのツボは、
“天から降りてきた魂(腎気)が地を踏み、初めて目覚める場所”。
陰中の陰である腎経が、ここから立ち上がり、
全身の生命の根幹を支える“根の水脈”となる。
五行分類と象徴性
井木穴・五行では「木」に属する。
木は「成長・発芽・方向性・意志」を司る。
腎=水との組み合わせにより、**“水から木が生まれる”**ことを象徴。
▶ 腎水から人生の意志(志)が芽生える、
**“心身の根からの再生”**を促すツボである。
象徴的イメージ(オリジナル比喩)
・深い大地の奥に眠っていた泉が、一滴ずつ光をまとって湧き出す場所
・冷えきった心と体に“再び火が灯る”始まりの点
・「心が渇いた」と感じるとき、
その渇きを癒す内なる泉が涌泉である
臨床での活用(実践ポイント)
・のぼせや高血圧症状 → 頭部を冷まし、下に気を引き降ろす効果あり
→夜、両足の涌泉を温灸やお湯につけるだけでも眠りが深くなる
・腎虚タイプの疲労や無気力 → 指圧や灸で“根から力を戻す”
→朝起きたとき、軽く押し刺激して気のスイッチを入れる
・自律神経のバランス調整 → 深い呼吸とともに涌泉を意識すると、
足元から安定感が生まれ、心の浮遊感が落ち着いていく
精神・魂との関係
・腎は「精」と「志」を蔵すとされる
・涌泉は、“人生を生き抜く根源的な意志”が眠っている場所
▶ 落ち込んだとき、目標を見失ったとき、
地面に足をつけ直すようにしてこのツボを感じると、
忘れていた「自分の軸」が蘇ってくることがある。
補足:養生としての活用
・毎日の入浴時、足湯・湯たんぽ・オイルマッサージで涌泉を温める習慣は、
老化防止・更年期のサポート・認知症予防としても有効とされる。
▶「年齢を重ねるほど、このツボの“意味”が深くなる」と感じる人も多い。
→然谷(ねんこく)
←兪府(ゆふ)
→手の厥陰心包経
←足の太陽膀胱経
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