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迎香(げいこう) |
「迎香」は、“呼吸・香り・記憶・変化”というテーマで深く掘り下げることができる、非常に奥の深い経穴です。
英語
Large Intestine(LI)20
Ying Xiang(Welcome Fragrance)
迎香(げいこう)
手の陽明大腸経20
The Large Intestine Meridian of Hand-Yangming
迎香
げいこう
Geikou
取穴部位
鼻孔の外側約5分、鼻唇溝中。
鼻のわきにあるくぼみに指先が自然にフィットする位置で、
呼吸のたびにわずかに動く感覚を感じられる箇所。
筋肉
上唇鼻翼挙筋、小頬骨筋、上唇挙筋
運動神経
顔面神経(頬筋枝)
知覚神経
上顎神経(眼窩下神経の枝)
血管
眼角動脈(顔面動脈および眼動脈の吻合枝)

主治(伝統+現代応用)
・鼻づまり、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎
・嗅覚異常、匂いが感じにくい
・顔面神経麻痺、表情の左右差の改善
・花粉症による目や鼻の不快感の緩和
・口呼吸のくせによる顔の緊張や表情のこわばりに
名前の由来(オリジナル解釈)
「迎香」とは直訳すると「香(かおり)を迎える場所」。
これは単に**嗅覚の入り口**を意味するだけでなく、**「外界の気=香り」を五感の中で最も原始的な形で取り入れる門**であることを示している。
古来、香りとは「気配」「生命の兆し」「変化の始まり」を意味し、迎香はまさにその**兆しを“迎え入れる”神経の門番**ともいえる。
つまり、迎香は単なる鼻の穴の横ではなく、「外界とのつながりを再び取り戻す起点」なのだ。
心理・感情との関わり
・現代人は“におい”に鈍感になっているだけでなく、**「世界の変化を感じる力」そのものが鈍くなっている**。
・迎香を意識することは、嗅覚の回復以上に、**自分の周囲に起きている微細な変化に気づける感受性の復活**に通じる。
・嗅覚は記憶と密接に関わっており、トラウマや懐かしい記憶が香りをきっかけに再生されることもある。
・迎香は、**記憶のフタをやさしく開くスイッチ**ともなりうる。
現代的な応用
・マスク生活で鼻呼吸が浅くなっている人が、**再び深い呼吸と“空気のおいしさ”を取り戻すきっかけ**として活用。
・香水、アロマ、香り付き柔軟剤など人工香料に囲まれている現代社会では、**本物の香り(自然)を嗅ぎ分ける力**を育てる場所ともいえる。
・「香りを迎える」ことは、言い換えれば**“今ここに在る”というマインドフルな感覚**を呼び覚ます行為でもある。
セルフケアとしての使い方
・両手の人差し指を使い、軽く左右の迎香を同時に押す。
・このとき、鼻からゆっくりと息を吸い、香りや空気の質に意識を向ける。
・目を閉じて、どんな香りでも「今の自分に届く世界のサイン」として受け入れる。
・毎朝・就寝前に数十秒でもよい。習慣化することで「気づく力」が戻ってくる。
迎香×メンタルケア
・ストレスによって鼻がつまる人(いわゆる「ストレス性鼻閉」)は、**迎香のこわばりと同時に心の閉塞感**を感じていることが多い。
・迎香を通じて**「においを取り戻す」ことは、“自分の世界を取り戻す”ことにもつながる。**
・呼吸法や整息と組み合わせることで、**感覚を静かにひらき直す起点**にもなる。
注意点
・敏感肌の人は強く押さないこと。軽く触れるだけでも十分効果がある。
・鼻炎で炎症が強いときは無理に刺激せず、周囲の気血を整えるように周辺を温めるだけでも良い。
→商陽(しょうよう)
←禾髎(かりょう)
→足の陽明胃経
←手の太陰肺経
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