HOME | 経絡・経穴(ツボ) | 手の陽明大腸経 | 扶突(ふとつ)

経絡・経穴(ツボ)

扶突(ふとつ)

「扶突」は喉の通路をただ整えるだけでなく、**“本音を通す勇気”**を支えるツボとして、心理面との連携を意識します。

英語
Large Intestine(LI)18
Fu Tu(Protuberance Assistant)

扶突(ふとつ)

手の陽明大腸経18
The Large Intestine Meridian of Hand-Yangming

扶突
ふとつ
Futotsu

取穴部位
喉頭隆起の外方約3寸、下顎角の下で胸鎖乳突筋の前縁に位置する。
軽く首を回旋・伸展することで筋が浮き上がり、触診しやすくなる。喉元の外縁をなぞるように指を滑らせると、わずかな凹みとして感じ取れる。

筋肉
広頚筋、胸鎖乳突筋(前縁)

運動神経
顔面神経(広頚筋)、副神経・頚神経叢筋枝(胸鎖乳突筋)

知覚神経
頚横神経

血管
上行頚動脈、甲状腺上動脈枝などが近くを走行

手の陽明大腸経

主治(古典と現代の統合)
・咽喉の腫れ、痛み、声枯れ、咳嗽
・気管支炎、扁桃炎、甲状腺機能の乱れの補助ケア
・ストレスや緊張による喉の違和感(ヒステリー球)
・首こり、首の詰まり感、呼吸のしづらさ
・言語障害や吃音の精神的背景へのサポート

名前の由来(オリジナル解釈)
「扶」とは支える、助けるの意。「突」は突出した部分、または息の出口、喉頭部を意味する。
よって扶突は「**呼気・発声を助ける門**」「**突き出た声の支点**」とも読め、**自分の声を支え、自信ある自己表現を助けるツボ**と捉えることができる。
また、喉元にありながらも“胸から上がってくるものを受け止める関所”とも言える。

精神・心理面への応用
・「言葉にするのが怖い」「本音を言えば傷つけてしまう」といった**表現の葛藤**が身体化しやすい部位。
・ここが硬くなる人は、感情や意見を喉元で止めてしまう傾向がある。
・自分の思いや存在を“通していく”力を取り戻すために、丁寧なケアが有効。

現代的な活用
・長時間のマスク装着やテレワークなどで口呼吸が増え、呼吸の通りが悪くなる現代人にとって、**呼気の道を再び開くツボ**となる。
・スマホ首や巻き肩が固定化し、頸部前方が圧迫されがちな生活習慣の中で、扶突はまさに「現代症候群の象徴ポイント」とも言える。
・深呼吸が浅くなると感情も詰まりやすくなり、言葉の表現力も落ちる。このような悪循環を断つ鍵になりうる。

セルフケアとしての触れ方
・両手の人差し指と中指で、左右の扶突を軽く包み込むように当て、ゆっくりと深呼吸を3~5回。
・その際、声を出さなくても「心の中で言いたかったことをつぶやく」ような意識を持つと、内側からの緩みが促されやすい。

補足:天鼎との違いと使い分け
・天鼎が「まだ声になっていない内なる声」の受信点だとすれば、扶突は「声として出すための導管」。
・両方をセットでケアすることで、**思いの発露から言葉への変換プロセス**をスムーズにすることができる。

注意点
・甲状腺疾患や頸部の動脈硬化がある人には慎重に使用。
・過度な押圧では逆に緊張を高める恐れがあるため、あくまで“支える”ように触れるのが原則。

→禾髎(かりょう)

←天鼎(てんてい)

→足の陽明胃経

←手の太陰肺経

関連記事

大腸 東洋医学