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上廉(じょうれん) |

**上廉(じょうれん)**は、前腕における「エネルギーの昇降と調整の要」としての側面を持ち、肘から手首のつながりを滑らかに整える重要なポイントです。下廉とともに使うことで、上下のバランスを取りながら、現代人に多い前腕の疲労・精神的過緊張に対する調和が可能です。
英語
Large Intestine(LI)9
Shang Lian(Upper Ridge)
上廉(じょうれん)
手の陽明大腸経9
The Large Intestine Meridian of Hand-Yangming
上廉
じょうれん
jyouren
取穴部位
前腕後橈側、曲池穴から下3寸の位置。長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の間にあり、皮膚を軽く押すことで圧痛点が確認される。
筋肉
長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋
運動神経
橈骨神経
知覚神経
外側前腕皮神経
血管
橈骨動脈

主治(伝統的な効能)
・前腕や肘の痛み・だるさ
・肘から手首にかけてのしびれや循環不良
・頭痛、特にストレス由来の前頭部痛に関連
・目の疲れや充血など上半身への熱の過剰を鎮める
・便秘や腸内ガスの排出調整(腸の流れの促進)
・手の冷えや血流停滞の改善
名前の由来(オリジナル解釈)
「上廉」の「上」は**流れの中でより高い位置、または昇る気の流れ**を指し、「廉」は「清らかでまっすぐな通り道」という意味合いを持つ。すなわち、**気血の上昇と浄化の通路を整える役割**があると解釈できる。
「下廉」と対をなし、上下で**前腕のエネルギーの往復を調律する中継点**ともいえる。
エネルギーの循環と調整
上廉は、陽明大腸経において「排出」だけでなく「上昇・発散」の調整点として働く。**熱や気が上に昇りすぎて不快感がある場合**、ここを整えることでバランスを取ることができる。また、**指先までエネルギーを通す準備点**としての役割も持つため、手先の冷えや感覚鈍麻などのケアにも用いられる。
精神面への影響
怒りや不満、焦燥感などが「上気」して頭にのぼりやすいとき、このツボを用いることで**落ち着きや冷静さを取り戻す手助け**となる。
「じょうれん」という読みは、静かに澄み渡った川の上流を思わせ、**混乱した思考を鎮め、心の清流を取り戻す象徴的なツボ**といえる。
現代的応用とセルフケア
・PCやスマートフォンの使いすぎによる**前腕の張りや疲労**
・ペンを握る、包丁を使うなど**反復作業による前腕のオーバーワーク**
・リモートワークによる**心身の停滞感や集中力の低下**
→このような現代的な症状に対して、上廉は前腕の「流れを回復させる」リセットスイッチのように働く。
押し方のコツ
椅子に座って肘をテーブルに置き、親指で3秒ほどやや強めに押してから離す。これを3〜5回繰り返すと、前腕から手先にかけての温かさや軽さを感じることがある。
注意点
上廉は浅層に橈骨動脈が走行している部位に近いため、**強すぎる圧迫や鍼刺激**は避け、穏やかな刺激を心がけること。また、**神経過敏な方には慎重なアプローチが望ましい。**
→手三里(てのさんり)
←下廉(げれん)
→足の陽明胃経
←手の太陰肺経
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