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非結核性抗酸菌症

肺非結核性抗酸菌症の薬の治療

感染していても症状がなく、病巣の拡大がみられない場合には、薬物治療はせずに、経過観察を選ぶこともできます。

病原菌がカンサシー菌によるものでは、抗結核薬で治療することもあります。

マック症の場合は有効とされる薬剤は結核と比べて効果が乏しく、完治できず慢性化することが多いのが特徴です。

症状や肺の影が悪化してくる場合には薬による治療を行うのですが、非結核性抗酸菌症の治療を目的として開発された専用の薬はほとんどなく、結核や一般細菌に対する薬を代用し、幾種類かを組み合わせて使用することになります。

薬剤効果が弱く空洞などが限局している場合は、外科手術を併用する場合もあります。

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薬物治療の問題点

非結核性抗酸菌症(肺MAC症を含む)の治療には完治を約束する薬がありません。

結核の薬物治療と同様に一種類のみでは、薬物耐性菌が生まれて、薬の効き目が低下するため、多くの種類の抗生剤を長期間内服する必要があり、その副作用が生体に及ぼす影響は計り知れません。

75才以上の高齢の場合は、薬の副作用に耐えられない確率が高まるため、経過観察にとどまるのが一般的です。

若年の薬物治療においても、その副作用による不快な体調や健康への影響は免れないでしょう。

薬物治療の健康被害は自分が生き残るか、菌が生き残るかの戦いになってしまうので当然といえるでしょう。

結核でも身体への負担を考慮し3剤内服の場合、基本的に9ヶ月以上は行いません。

MAC病の治療の多くは2年間以上の複合内服が予想されます。

非結核性肺抗酸菌症の年間死亡者数は推計約1300人以上とされていますが、そのうち薬の副作用で亡くなっている患者数の統計は不明です。

薬物療法により約70%の患者で排菌は停止するが、治療終了後1 年間の間に半数近くで再排菌が見られる臨床報告もあります。

薬による治療法が解っていないので、基本的には結核と同じような化学治療が行われます。

イソニアジド、エタンブトール、リファンピシン、レボフロキサシン、ピラジナミド、クラリスロマイシンなどを組み合わせて治療することが多いです。

MAC菌が原因であることが確定した場合は、クラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシンの3剤を長期間内服することがあります。

また、注射薬のストレプトマイシンを併用することもあります。

エタンブトールによる視神経障害(視力低下・失明など)や、ストレプトマイシン、カナマイシンによる聴力障害(薬剤性難聴など)やめまい、ふらつきなどの副作用もみられ、眼科や耳鼻咽喉科の処方による化学療法も追加され、新たな副作用を生むケースも少なくありません。

通常の治療では菌が消えない患者を対象に「リポソーマル・アミカシン」という吸入剤の臨床試験(治験)がおこなわれています。

肺炎や気管支炎を対象に「ソリスロマイシン」という抗菌薬の治験もおこなわれています。

いずれも肺非結核性抗酸菌症に効果があるのかは不明です。

症状や画像の悪化が見られる症例では、長期間(一生涯)化学療法を続けざるを得ない場合もあります。

抗酸菌感染は無発症性(真の無病変および軽度の病変は有するが無症候例を含む)に経過する例から播種性に経過する例まで種々です。

化学療法を行うことが、逆に患者自身の健康状態のバランスを崩すことになる懸念があります。

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抗酸菌感染症の歴史

人類は抗微生物薬(抗生物質)や予防薬 (BCGやイソニアジド) の開発に邁進してきました。しかし、抗酸菌の薬剤耐性などの問題により、抗酸菌感染症は着実に増加および難治化しています。

医療が進んだといわれる現在においても、抗酸菌感染症は人類にとって大きな脅威として存在しています。1993年には、WHO(世界保健機構)は抗酸菌感染症である結核に対して非常事態を宣言しました。

ペニシリンなどの開発が進み、結核などの感染症の脅威が消えたと思い込んでいる現代でも、結核を含めた抗酸菌感染症患者の死亡は後を絶つどころか増加しています。

抗酸菌感染の発病は感染者の約10%以下とされています。90%以上の感染者は抗酸菌感染に対する抵抗性を保持あるいは獲得していることが想定されています。

つまり、生活習慣を整え、自然な身体の免疫機構が十分な働きをすることを邪魔しない生活が大切です。化学療法はときに自然な免疫機構の邪魔をしている場合があります。

クスリのリスク

それぞれのクスリには、それぞれのリスクがあります。病院任せにして安易に薬に飛びつくのではなく、治療にはどのようなリスクがあるのか確りと理解したうえで進めていくことが大切です。

非結核性抗酸菌症(肺MAC症を含む)の治療には完治を約束する薬がありません。薬による治療が確定していない副作用が強い抗生物質などの化学療法を、患者の十分な理解がないまま長期にわたり、繰り返してきた結果が抗酸菌類の薬剤耐性を複雑に且、難しくしてきてしまった面があります。

とくに御高齢の方でクスリの副作用のために食欲が落ちる場合は、無理をして治療を続けて栄養状態や健康状態の悪化をまねくことは避けるほうが賢明です。

副作用の強いクスリをやめて、十分な休息と栄養をとって、健康状態を自然に保つほうが良い場合もあります。

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予想不可 肺NTM症の薬物治療

非結核性抗酸菌症の診断基準を満たした方でも、自然軽快してしまう例があります。

軽症と思われた方が1、2年で進行性病変を示したりもします。

薬物治療により治癒したと思われてもすぐに増悪する事も稀ではありません。

MAC症の再発

薬物治療によりMAC症が治癒したと思われても一年もたたないうちに、またMAC症になるケースが多いといわれています。

最初に検出した菌と再発時に検出した菌が別の菌であることを証明する報告が米国の研究で明らかになりました。

これは、薬物療法は一時的な対症療法であり、これまでの化学療法と外科手術の併用だけでは、再発を根本的に防ぐことが出来ないことがうかがえます。

肺NTM症の外科手術

外科治療(手術)のみで完全治癒は困難。

主病巣の切除後に残る対側肺や同側他肺葉の小結節病巣に対しては、術後1年以上の薬物療法を加える必要があり、生体への負担も大きいことを考慮しなければなりません。

薬による治療の開始時期

肺非結核性抗酸菌症は薬物療法による弊害が大きいため、早期発見早期治療が推奨されない病気です。

陰影の画像を限局的に認めるのみでは、薬による治療は開始せず、経過観察される症例が一般的です。

経過観察中に陰影像が増悪するばあいや、空洞ができるばあいは、その時点から化学療法に移行するのが一般的です。

一般的に多くみられるMAC症の結節・気管支拡張型でも、血痰や喀血を有したり、病変の範囲が広範に及ぶばあいは確定診断後に薬物療法が選択肢となることもあり得ます。

化学療法はせずに、経過観察のみと判断された場合でも、突然なんの変調もなく急激に進行することもあります。ですから定期的にレントゲンなどで経過を観察をすることが望ましいといわれています。

肺MAC症の一般的な化学療法

肺MAC症の化学療法

https://www.kekkaku.gr.jp/books-basic/pdf/7.pdf

カンサシ菌の化学療法

カンサシ菌の薬物治療での効果は、結核菌と似ているので、エチオナミド(TH)、リファンピシン(RFP)が使用されるのが一般的です。

結核と同様にエタンブトール(EB)、イソニコチン酸ヒドラジド(INH)、リファンピシンの3種類の薬の併用療法を約1年以上続けるのが一般的です。

主薬と脇薬

直接菌と闘う薬の主役はクラリスロマイシン(CAM)です。

でもこの薬だけ飲んでいると、菌が耐性化してしまい、しだいに薬が効きにくくなります。

ですから、さまざまな脇役の薬を混ぜて飲むことで、菌の目をくらまします。

ただ、主役、脇役の薬にはさまざまな副作用が付きまといます。

非結核性肺抗酸菌症 予後

治療を終了した後も、再発しないか定期的にエックス線検査をおこなうのが一般的です。

再発すれば薬物治療を再開します。菌が完全に消えることはまれであるといわれています。

病状の経過が患者ごとに異なり、予測も十分にできないのが現状です。

非結核性肺抗酸菌症(肺MAC症)は緩やかに進行するというプラスのイメージが先行していますが、年間死亡者数は推計約1300人以上(2004年現在)と決して低い死亡率ではありません。

近い将来、結核の死亡者数の年間約2100人を追いこすことが予想されています。

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