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非結核性抗酸菌症

非結核性肺抗酸菌の感染

非結核性肺抗酸菌症の感染者は大きく3タイプ

①結核後遺症、気管支拡張症などの合併症で起こる場合。

②エイズ患者や白血病患者(免疫低下症)に併発してくる場合。

③中年から高齢の健康な女性でこれまで肺に異常がなかった方に発症する場合。

CT検査の普及で、30代でも見つかるケースが増えています。

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非結核性肺抗酸菌症の疫学

菌の種類は150種類以上と多く、非結核性肺抗酸菌症の原因となる菌の約8割がマック菌で、次に多いとされるカンサシ菌は約1割程度です。

年間の患者数は推計約10万人以上。年間の死亡者数は推計約1300人以上です。

人から人への感染はないが、致死率は決して低くありません。肺カンサシ症は20代男性に多い統計があります。

肺カンサシ症の環境要因

肺カンサシ症は鉄鋼業の盛んな地帯の重工業労働者や、鉱山に従事する鉱員との関連性が指摘されています。

日本国内でも大阪湾沿岸部、岡山県倉敷市の水島工業地帯の中心部などに患者数が多いことが報告されているため、環境要因との関連性が示唆されています。また、粉塵吸入歴との関与や喫煙との関わりが示唆されています。

世界で増え続ける非結核性抗酸菌

非結核性抗酸菌(NTM)(エヌティエム)の患者数は、肺結核を超えるほどの勢いで、急激に増加していることがわかっています。

NTM 症の増加は世界各地で報告されています。

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世界の罹患率

罹患率が高いアメリカで、罹患率が高い地域では10万人中約40人まで増加という方向があります。

肺NTM症の罹患率は日本も高いですが、明らかな原因は不明とされています。

症例が少なかったヨーロッパやオセアニアでも増加の一途をたどっている報告があります。

肺NTM症患者の急激な増加の要因

現段階での肺NTM症の患者数増加の要因としては、病気の認知度向上、生活様式の変化、患者の高齢化、診断精度の向上、検診機会の増加などが考えられています。

抗生物質の乱用による細菌群の生き残りをかけた進化による感染症ととらえる生物学者たちもいますが、詳しい分子生物学的機序はわかっていません。

抗酸菌症と結核

結核菌もまた抗酸菌の一種です。

1950年、昭和25年まで、結核は、日本人の死亡原因の第1位でした。

その後、ストプレトマイシンが発見され結核、患者数は減少しました。

では、現代医療の恩恵により、結核が無くなったのかといえば、答えはNOです。

結核は現在でも日本で年間約1万8000人以上の新しい患者が発生し、約2千人以上が死亡する感染症とされています。(厚生労働省平成27年結核登録者情報調査年報)

というのも、結核菌は薬物治療を行うと、薬物に耐える結核菌に変化する特徴があり、なかなか根絶ができません。

それどころか、抗酸菌のなかまである「肺MAC症」肺マックという感染症が近年、健康な中高年女性に急増しています。

肺マック感染症の発病率としては、日本人10万人当たり約15人。年間の患者数は約12万人、死亡者数推計約1300人以上に上ります。

増えつづける患者数

薬による治療の効果が確実ではなく、副作用の弊害もあり、早期発見早期治療の対象外の病気とされるため、患者数は年々蓄積され、増え続けています。

感染経路

非結核性抗酸菌症は土、水、家畜、ペットの体内などの生活環境にいる菌なので、「庭仕事、畑仕事、浴室の清掃、エアコンフィルター」などの作業時に空気中にただよう非結核性抗酸菌の浮遊粒子(エアロゾル)を吸い込むことにより感染すると考えられています。

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水中に潜む抗酸菌

非結核性抗酸菌感染症の多くは水を経由した感染です。

非結核性抗酸菌は0.3~4ppmの低濃度の塩素の中でも死滅しない報告があります。したがって水道水に混入している可能性があります。

冷蔵庫や冷凍庫にも注意が必要

冷凍庫、製氷機からも非結核性抗酸菌が検出された報告があります。

免疫不全症などのハイリスククランケの飲料水などについても特別な対策が必要です。

抗酸菌のバリア、バイオフィルム

非結核性抗酸菌は細胞壁に多量の水を通しにくい脂質を含有し、アルコール、アルカリ、酸、塩素にも抵抗性があります。

表面にはバイオフィルムというバリアを形成することが知られています。したがいまして、消毒薬が効き難くなることにも注意が必要になります。

抗酸菌は熱、日光、紫外線により死滅するといわれています。

高温でも増殖するマック菌

MAC菌であるアビウム菌とイントラセルラー菌のうち、お風呂などで検出されるのは、アビウム菌です。

ヌルヌルしたバイオフィルムというバリアを形成して、その中で増殖すると考えられています。

ですから、42度という、一般の細菌が増殖しにくいような高い温度環境でも増殖する性質があるといわれています。

病院内感染にも注意

医療技術の進歩などにより、病院内では易感染状態の患者が増加しつつあり、院内感染も懸念され、実際に各地で院内感染が発生しています。

非結核性抗酸菌感染症は重要性を増し、適切な感染対策が急務です。

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薬の副作用による感染

近年進歩している生物学的製剤は、リウマチやその他の免疫性炎症性疾患患者 において改善を示す反面、抗酸菌症を含む感染症を併発させやすいことがいわれています。

何らかの病気で体の抵抗力が落ちている方や、免疫力を下げる副作用のある化学薬品、ステロイド、抗がん剤、免疫抑制剤、などを使っている方にもおきやすいことがいわれています。

播種性MAC感染症の発生率はHIV免疫不全ウイルス (human immunodeficiency virus; HIV)感染患者(後天性免疫不全症候群患者)において増加しています。

非結核性抗酸菌の暴露を受けても感染が成立しない場合が多いので、正確な感染経路は分かっていません。

MACに感染しやすい人

脊柱側弯症、漏斗胸、僧帽弁逸脱、気管支拡張症、のどの基礎疾患がある人など。

慢性乾性咳嗽のある高齢のやせた女性。

慢性気管支炎、肺気腫、結核が治癒した人、気管支拡張症、珪肺症などの以前から肺に問題のある中高年の白人男性。

気道の線毛運動といわれる掃除機能が落ちている人。

免疫不全などの病気や臓器移植などで免疫抑制剤やステロイド治療を行っている人。

AIDS患者では約3割前後がMACに播種性感染して、その多くは致命的であるという報告があります。

宿主抵抗性には環境、年齢、栄養、遺伝因子(人種を含む)などの各要因が存在するなどの諸説があり、現在研究が進行中です。

肺MAC症になりやすいタイプ

①40歳以上の女性

②ストレスを感じやすい性格

③小食でやせているほう

④胃の働きがあまりよくない

⑤換気しないで浴室を掃除する

⑥汚れたシャワーヘッド

⑦庭仕事や土いじりをよくする

せきやタンが1か月以上続いたり、血の混じったタンがでるばあいは肺MAC症を疑ってみる。健康診断の胸部エックス線検査を受けることが発見の第一歩になります。

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感染発病

多くの菌種は、菌が肺に定着して肉芽腫をつくり感染が成立すると考えられています。

どのように発病するかなどの詳しいメカニズムはまだ解明できていません。

カンサシ症は、発病のしかたや病変が、結核と似ているといわれています。