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顔面神経麻痺

顔面神経麻痺

英語

Facial Paralysis

もくじ

・顔面神経麻痺

・顔面神経麻痺の統計

・顔面神経麻痺の症状

・顔面神経麻痺の診断

・顔面神経麻痺の予後

・顔面神経麻痺の後遺症

・顔面神経麻痺の鑑別疾患

・顔面神経麻痺の治療

・顔面神経麻痺の運動療法

・顔面神経麻痺のステロイド療法

・顔面神経麻痺の原因

執筆者

井出井出 貴之(鍼灸師)プロフィール

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は、特発性末梢性顔面神経麻痺、別名ベル麻痺が最も多い。

ベル麻痺

顔面神経麻痺の統計

末梢性顔面神経麻痺のうち、約65 %がベル麻痺、約35%がそれ以外の原因であるという報告書がある。

顔面神経麻痺は新生児にも見られることがある。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の頻度は人口10万人に20から30人で、好発年齢は15から45歳といわれている。

顔面神経麻痺の症状

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の麻痺の発症は急性が多く、約48時間で症状がビークに達するといわれています。

時に顔面神経麻痺(ベル麻痺)に先行して耳の後部の痛みが2、3日つづくことがある。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の障害部位により、聴覚過敏や流涙異常、唾液分泌低下、味覚障害、耳痛を伴うことがある。

顔面神経麻痺の診断

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の電気診断法としては、electroneuronography (ENOG) が無侵襲であり最も信頼性が高いといわれている。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の簡便な検査法としては、柳原らの顔面神経麻痺評価法により評価されることが多い。

顔面神経麻痺の診断

顔面神経麻痺の予後

多くの顔面神経麻痺(ベル麻痺)の症例の予後は良いが、中には麻痺が残る症例もある。

予後不良の因子としては、高齢、高血圧、味覚異常、広範な痛み、完全麻痺などが挙げられる。

顔面神経麻痺の後遺症

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の後遺症としては以下がある。

病的共同運動(閉眼と同時に口が動く、口を動かすと閉眼するなど)

ワニの涙現象(食事の際に、麻痺側の眼から涙が出る現象)
 
顔面痙攣、顔面拘縮など

顔面神経麻痺の鑑別疾患

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の鑑別疾患として、帯状疱疹によるRamsay-Hunt症候群があげられる。

ラムゼイハント症候群は外耳道に小水疱状の皮疹があるのが特徴で、顔面神経麻痺は高度で (約80%は完全麻痺) 、第8脳神経も障害されると難聴が約70% 、前庭障害が約60%という報告がある。

麻痺が緩徐に進行する側頭骨を浸潤する腫瘍

両側性に顔面神経麻痺がみられるギラン・バレー症候群、サルコイドーシス、ライム病、Melkersson-Rosenthal症候群などがある。

必要に応じてMRI検査などで確認することもある。

顔面神経麻痺の治療

顔面神経麻痺(ベル麻痺)は、多くが予後良好であるといわれるが、工ビデンスが明らかな治療法はないとされています。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)は一般的には耳鼻科, 神経内科で診療がされる事が多く、ステロイド薬を中心とした薬物療法が行われているのが現状です。ステロイドによる治療効果を疑問視する報告もある。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の対処法として、夜間はテープや眼帯で上眼瞼を閉鎖し、日中はラップで片眼を被って角膜を保護するといった方法が用いられることもある。ゴーグルやサングラスなども使用されることがある。

顔面神経麻痺の運動療法

顔面神経麻痺(ベル麻痺)にたいする運動療法やマッサージは発症後1週間以降に、軽いものから始めるとよいとされる報告がある。

鏡に向かっていろいろな表情をつくり顔面筋に左右差があれば麻痺筋を手で動かして、他動的に健側筋と同じ動きにする。

強く閉眼する、歯をむき出す、ロ笛を吹く、ストローを使って頬を膨らませる、風船を膨らますなどを1日3回30分ずつ軽く行う。
  
冷房や風などに直接当たることを避け、冬はマフラーなどで保温に努める。

顔面神経麻痺の運動療法

顔面神経麻痺のステロイド療法

顔面神経麻痺(ベル麻痺)に対して大量ステロイド薬を使用する方法も行われているが、大量ステロイド薬投与に関連して生じたと考えられる副作用や合併症が危惧されている。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の大量ステロイド投薬の副作用、合併症の発生率は約20%で以下の症状が報告されている。

顔面のむくみ感、体重増加、上腹部不快感および痛み、皮疹、全身倦怠感、脱力感、肺炎、十二指腸穿孔、黄疸、盲腸周囲膿瘍、精神症状(うつ状態) 、死亡など。

顔面神経麻痺の原因

諸説あるべル麻痺の成因としてウイルス感染説がある。

水痘帯状ウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイ トメガロウイルス、Epstein—Barrウイルス、アデノウイルス、ムンプスウイルスなどの感染が考えられている。

その場合、ステロイド薬は免疫を抑制するのでウイルス感染を促進する可能性があり問題視されている。

特にステロイド薬の使用が制限される妊婦、小児、高齢者、糖尿病患者、消化性潰瘍患者にには鍼灸治療をおすすめする。

顔面神経麻痺の原因

顔面神経麻痺の鍼灸、整体、マッサージ

臨床で使用する経絡・経穴(ツボ)の例:

神庭(しんてい)、頭維(ずい)、攅竹(さんちく)、絲竹空(しちくくう)、睛明(せいめい)、瞳子髎(どうしりょう)など。

※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。

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参考文献

顔面神経麻痺診療の手引 Bell麻痺とHunt症候群 2011年版
日本顔面神経研究会 (著)
金原出版
2011/3/30 発売

顔面神経麻痺 関連外部リンク

顔面神経麻痺について
よこい耳鼻咽喉科

関連外部リンク

Bell's palsy
Mayo Clinic

Facial Paralysis
Cleveland Clinic

Facial Paralysis
Johns Hopkins Medicine