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摂食障害

英語

Eating disorder

もくじ

・摂食障害

・摂食障害とは

・摂食障害は大まかに3つに分類されます。

・摂食障害の統計

・摂食障害の原因

・摂食障害のきっかけ

・ストレスによる脳機能の異常

・摂食障害の症状

・摂食障害の心理的異常所見

・摂食障害の血液生化学検査所見

・摂食障害の内科的合併症

・摂食障害の鑑別疾患

・摂食障害の治療

・摂食障害の予後

執筆者

井出井出 貴之(鍼灸師)プロフィール

摂食障害

摂食障害の疾患には神経性食欲不振症(拒食症)と神経性過食症(過食症)が知られています。


これらは体型や体重に対する「認知の歪み」と考えられています。

一般的な精神科領域ではには精神疾患に分類されます。


神経性食欲不振症では、低体重、低栄養、脱水がみられ、

血液検査での異常、尿検査での異常、生理学的検査での異常が認められます。


ダイエットビジネスが盛んになった1980年代以降から日本でも摂食障害(拒食症、過食症)は増えています。

かつては15歳から30歳の発症が多かったのですが、近年は10歳以下や30歳以降でも摂食障害(拒食症、過食症)は多くなってきています。


アイドルやアーティストの体型に似せようとしたり、

バレー、ダンス、モデルなどの外見や競技のために体重や体型をコントロールするスポーツや職種に関わる方々に摂食障害(拒食症、過食症)が多いといわれています。
 


摂食障害は心身症に準じて、心身両面からのアプローチが必要な疾患です。


特定不能の摂食障害の、むちや食い障害では肥満症を合併することが多いです。

摂食障害とは

摂食障害とは、拒食、過食、嘔吐などの食行動の異常や、やせ願望、肥満に対する恐怖心などを伴う疾患です。

摂食障害は大まかに3つに分類されます。

①神経性食欲不振症(anorexia nervosa:AN)

②神経性大食症(bulimia nervosa :BN)

③特定不能の摂食障害(eating disorder not otherwise specified : ED-NOS)

特定不能の摂食障害 はANやBNの診断基準を満たさないものです。

摂食障害の統計

女性のANの生涯有病率は約0.5 %

女性のBNの生涯有病率は約1%から3%

男性の摂食障害の有病率は女性に比べると少ない。

摂食障害の原因

摂食障害の原因は社会文化的な要因、心理的な要因、生物学的な要因などが複雑に関与して発症すると考えられています。



社会文化的要因

細いことが可愛いとされる風潮
肥満の蔑視
ダイエットに関連するビジネス
女性の社会進出
など



心理的要因

認知の歪み
家族内の葛藤
外見で高評価を得ようとする低い自己評価
など



生物学的要因

遺伝的素因
脳機能の異常
代謝系の異常
など

摂食障害のきっかけ

心理的ストレス

ダイエッ ト

いじめ

虐待

性的暴行

受験ストレス

就職ストレス

職場ストレス

など 

ストレスによる脳機能の異常

ストレスにより脳の間脳視床下部の機能障害を誘発させて、拒食や食欲不振、過食、無月経などを起こすという説があります。   

生理的、精神的な変化により、疾病利得や現実逃避が現れ、症状は悪化すると考えられています。

摂食障害の症状

半飢餓

無月経

便秘

腹痛

冷え性

傾眠

易疲労感

低体温

低血圧

徐脈

脱毛

皮膚の乾燥

浮腫

嘔吐

唾液腺腫大

耳下腺腫大

虫歯

手背の吐きダコ(Russel's sign)

骨粗鬆症

など

摂食障害の心理的異常所見

不食

偏食

むちや食い

嘔吐

下剤乱用

食行動異常

食べ物への執着

強迫傾向

対人恐怖

過剰適応傾向

抑うつ 

不眠

摂食障害の血液生化学検査所見

汎血球減少

肝酵素上昇

低血糖

高コレステロール血症

高コルチゾール血症

甲状腺ホルモン異常 (FT3低値)

低カリウム血症

低ナトリウム血症

低クロール血症

など 

摂食障害の内科的合併症

低血糖

低カリウム血症

低ナトリウム血症

Refeeding Syndrome

MaⅡpryWeiss症候群

下剤乱用症候群

など

摂食障害の鑑別疾患

クローン病

潰瘍性大腸炎

胃腸疾患

脳腫瘍

悪性腫瘍

結核

後天性免疫不全症候群

甲状腺機能亢進症

糖尿病

慢性膵炎

など

摂食障害の治療

拒食症の治療

低体重の改善
低栄養状態の改善
食行動の正常化
など



過食症の治療

不自然な食習慣の改善
対人関係の改善
認知のゆがみに対するた認知行動療法
など

摂食障害の予後

拒食症の死亡率は5%から10%と高い。

死因
低栄養
衰弱
不整脈などによる突然死
感染症
自殺
など



過食症の死亡率は約0.3 %程度。
 
死因
低体重
併存疾患
高齢
など

摂食障害の鍼灸、整体、マッサージ

臨床で使用する経絡・経穴(ツボ)の例:

肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、胃兪(いゆ)、箕門(きもん)、中脘(ちゅうかん)など。

※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。

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参考文献

摂食障害治療ガイドライン
日本摂食障害学会 (監修)「摂食障害治療ガイドライン」作成委員会 (編集)
医学書院
2012/2/10 発売

関連外部リンク

What are Eating Disorders?
American Psychiatric Association.

6 Common Types of Eating Disorders (and Their Symptoms)
Healthline Media LLC.

Eating Disorders - NIMH
The National Institute of Mental Health (NIMH)