食道癌
執筆者
食道癌 概要
<食道癌の概念>
食道に発生する悪性腫瘍の総称です。
食道粘膜上皮から発生する悪性腫瘍で、日本では組織学的には90パーセント以上が扁平丘皮癌で発生部位は胸部中部食道です。
米国では食道胃接合部近傍の腺癌が多いです。
食道癌の疫学
日本、中国などのアジアに多い疾患です。南米にも多くみられます。
60歳以上の高齢男性に多く悪性腫瘍の死因第6位(2003年)
男女比は約6:1でした。
食道癌の成因
成因は明らかではありません。
リスクファクターは喫煙、飲酒、香辛料の強い食事、熱い食物など。
逆流性食道炎(バレット食道)、肥満、特定の薬物による長期治療も腺がんのリスクファクターです。
食道癌の病態生理
良性上皮性腫瘍
1.扁平上皮乳頭腫
2.腺腫
上皮内腫瘍
1.扁平上皮内腫瘍
2.円柱上皮内腫瘍
上皮性悪性腫瘍
1.扁平上皮癌
2.類基底細胞癌
3.腺癌
4.腺扁平上皮癌
5.粘表皮癌
6.腺様嚢胞癌
7.内分泌細胞腫瘍
8.未分化癌
非上皮性腫瘍
1.平滑筋腫瘍
2.GIST
3.神経性腫瘍
リンパ球系腫瘍
腫瘍様病変
1.異所性胃粘膜
2.異所性皮脂腺
3.Cowden病
4.グリコーゲン表皮肥厚
<分類>
肉眼的分類
0型 表在型
0-I 表在隆起型
0-II 表在平坦型
0-III 表在陥凹型
1型 隆起型
2型 潰瘍限局型
3型 潰瘍浸潤型
4型 びまん浸潤型
5型 その他
深達度分類
T1a:癌が粘膜内にとどまる病変
T1a-EP(m1)
T1a-LPM(m2)
T1a-MM(m3)
T1b:癌が粘膜下層にとどまる病変
SM1 SM2 SM3
T2:癌が固有筋層にとどまる病変
T3:癌が食道外膜に浸潤している
T4:癌が食道周囲臓器に浸潤している
食道癌の症状
早期癌の場合は無症状です。
嚥下時に「しみる」などの不定愁訴をともなうことがあります。
進行が早く、発見が遅れやすい癌の一つです。
進行癌では食道の狭窄による嚥下困難、嚥下時痛。半数以上で体重減少がみられます。他臓器への浸潤による症状も考慮します。
食道・気管支炎、嚥下性肺炎などの併発も考慮します。大動脈に浸潤すると出血を起こします。
反回神経麻痺による呼吸困難、咳嗽、嗄声
交感神経麻痺による同側の眼瞼下垂,縮瞳(ホルネル症候群)
迷走神経圧迫による徐脈
上大静脈圧迫による顔面浮腫(上大静脈症候群)
進行癌では、胸骨後部または背部または右上腹部痛や鎖骨上部リンパ節腫大を認めることもあります。
食道癌の一般的な治療
内視鏡治療
手術的治療
放射線療法
化学療法
などがおこなわれています。
食道癌の一般的な治療
<食道癌の予後>
リンパ節転移が多く、漿膜(外膜)を有していないため、周囲に浸潤しやすい、その結果、消化管の癌の中で予後は極めて悪いといわれています。
からだに優しい考察
食道は咽頭と胃を結ぶ消化器官です。首、胸を下り、横隔膜を通ります。
食道がんのほかに、食道のトラブルとして、憩室炎、ヘルニア、逆流性食道炎などがあります。
食道、胃、小腸などはストレスに大きな影響を受ける器官として知られています。
消化器官は副交感神経優位の時に活発に活動します。
従って、大きなストレス下にあるばあい、食道の活動は一時停止した状態になります。
緊張時、食事等がのどを通らないような気分になるのもこのためです。
生活のリズムをしっかりと保ち、自律神経を安定的に誘導していくことも大切です。
食道癌の鍼灸、整体、マッサージ
臨床で使用する経穴(ツボ)の例:
お腹の 中脘(ちゅうかん)、天枢(てんすう)、中庭(ちゅうてい)など。
足の 足三里(あしさんり)など。
※市販の「お灸」をする時の参考としても使用できます。
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参考文献・引用
臨床・病理 食道癌取扱い規約 第12版
日本食道学会 (編集)
金原出版; 第12版
2022/9/29 発売
膀胱癌 関連外部リンク
Esophageal Cancer Treatment (Adult) (PDQ®)–Patient Version
NCI
Esophageal cancer - Symptoms and causes
Mayo Foundation for Medical Education and Research (MFMER).
Esophagus Cancer
American Cancer Society, Inc.