![]() |
大椎(だいつい) |
内外の“気”を調和させ、心身の境界を守る関所
英語
Governor Vessel(GV)14
Da Zhui(Great Hammer)
大椎(だいつい)
奇経 督脈14
The Du Meridian (Dumaixue)
大椎
だいつい
daitsui
取穴部位
第7頚椎棘突起と第1胸椎棘突起の間、正中線上
頚の付け根で最も突出して触れやすい部分
筋肉
棘上靭帯、棘間靭帯、棘間筋
運動神経
脊髄神経後枝(主にC7、T1)
知覚神経
頚神経後枝
血管
頚横動脈上行枝、椎骨動脈の枝
主治
- 発熱、悪寒、風邪初期
- 咳嗽、気管支炎、喘息
- 肩こり、首のこわばり
- 自律神経失調症、のぼせ
- てんかん・意識障害の予防的ケア
名前の由来(オリジナル解釈)
「大椎」の“椎”は脊椎(背骨)を意味し、特にここでは第7頚椎=最も目立つ骨のことを指す。 “椎”の上に“首の重み”と“気の出入口”が集まるため、“大”の字がつけられた。 つまり「**気血の門戸であり、陽気が集結・発動する“背中のハブ”**」である。 この名には「外界の変化を受け止め、内なるバランスを取る要点」という意味が秘められている。
中医学的意義
- 督脈と手足の陽経が交会する重要穴
- 風邪の“門”として、外邪(風寒風熱)の侵入ルートでもあり、またそれを発散させる場所でもある
- 陽気の中心であり、気の流れを「上へ」導く作用をもつ
象徴的な意味
- 肉体と環境(外界)との境界を守る“門番”のような存在
- 心身の「温度」「勢い」「気配」を調節する“調整弁”
- 「背中に背負ってきたものを、一度下ろして整える場所」でもある
臨床ヒント
- 風邪の初期、悪寒・発熱がある時にお灸またはカッピングを使うと回復が早い
- 肩こりや首のこわばりが強い場合、このツボが“つまって”いることが多い
- 花粉症・アレルギー性鼻炎の緩和にも有効(免疫系統の過敏反応を抑える)
セルフケア・意識法
- 朝の冷気にあたる前に、ホットタオルやドライヤーなどで温める習慣をつける
- 首の後ろに手を当て、「私は自分の境界を守ります」と内なる声で宣言する
- このツボに集中することで、“外の混乱”と“内なる平静”を分けて感じやすくなる
補足:心と体の“防衛線”を取り戻す
大椎は、「外的刺激」と「内的状態」の境界に位置するツボである。 過剰な情報、過度な責任、環境からの緊張が首元に“のしかかって”いると、 このツボに冷え・圧痛・つまりが生じる。 つまり、「**自分という存在を守るバリアが弱まっている**」というサインでもある。 このツボを整えることは、単なる風邪予防だけでなく、**心身の自律性を再構築する**ことにつながる。

→瘂門(あもん)
←陶道(とうどう)
→手の太陰肺経
←任脈
関連記事