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中枢(ちゅうすう) |

「思考・感情・消化」の3つが交差する場所
**“重心”と“意識”の中心**
英語
Governor Vessel(GV)7
Zhong Shu(Central Pivot)
中枢(ちゅうすう)
奇経 督脈7
The Du Meridian (Dumaixue)
中枢
ちゅうすう
chusu
取穴部位
第10・第11胸椎棘突起間、正中線上
みぞおちの裏あたり。背中の下半分で、「重心」が集まりやすい部位。
筋肉
棘上靭帯、棘間靭帯、脊柱起立筋(特に最長筋・多裂筋)
運動神経
胸神経後枝(T10〜T11)
知覚神経
胸神経後枝
血管
第10・第11肋間動脈背枝
主治
- 胃の不快感、胃もたれ、食欲不振
- みぞおちの詰まり、逆流性食道炎のような感覚
- 情緒の波(特にイライラと憂うつを繰り返す人)
- 姿勢の崩れ、猫背、脊椎アライメント不良
- 「背中が重い」「何かを背負っている」感覚
名前の由来(オリジナル解釈)
「中枢」は、一般的には“中枢神経”に通じるように、**機能全体を統括する中心**を意味する。 このツボは、督脈という全身の陽気の流れにおいて「陽気の分配地点」であり、身体・精神の両面における“運営センター”のような位置付けである。 感情と消化の交差点であり、「思い悩みすぎたときにズンとくる」場所でもある。
中医学的意義
- 中焦(脾胃系)のバランス調整を司る要穴
- 陽気の停滞を分散し、全身に気を巡らせる
- 精神の中庸を保つ、内在的な指令塔的ポイント
象徴的な意味
- 「中」にあるとは、“偏らずに整える”という意味
- 「枢」とは、扉の軸=回転の中心 → 物事の流れを変える起点
- このツボが乱れると、「自分の中心がわからない」という状態になりやすい
施術のヒント
- 慢性の胃腸不調で、腹部を触っても反応が乏しい人は、背部の中枢に圧痛が集中していることが多い
- 怒りとストレスが溜まりやすいタイプの人には、中枢→膻中→太衝の組み合わせが有効
- みぞおちが固くなる前に、背中の中枢の“硬さ”を感じ取って調整するのがベスト
セルフケア・意識法
- 深呼吸の際、吐く息で「背中の中心に重心が降りる」感覚を意識する
- 思考が暴走しがちな時は、中枢に手を当てて「ここが私の中の中」と唱えるように
- 「自分が何に影響されて動いているか」=動機を見つめ直すときに使う
補足:中枢は“静けさの中心”
中枢は肉体の“重心”であり、精神の“静心”でもある。 ここが整えば、余計な雑念や外的な影響に左右されず、「今ここにいる感覚」を取り戻せる。 施術者がこのツボに触れるということは、単に不調をとる以上に、**相手の“核心”と対話する行為**である。

→筋縮(きんしゅく)
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→手の太陰肺経
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